いってらっしゃい



「なっつーん、忘れ物だよぉ〜!」
「何!?チェックしたはずだが・・」
「ホラ、これ。今日要るんでしょ!?」
「ああ、それは明日になったんだ。スマン。」
「なんだ、そっかぁ。褒めてもらおうと思ったのに〜!」
「よく覚えてたな。」
「エヘン、ご褒美は?」
「このくらいで・・何がいんだよ?」
「うーんとね、ケーキv」
「太るぞ。」
「だいじょぶだもん!」
「わかった。もう行くぞ。」
「ああっ待ってよ!」
「まだ何かあるのか?」
「そじゃなくて・・忘れてるでしょお!?」
「?・・あぁ・・」


「・・いってらっしゃい。」
「あぁ、行って来る。怪我すんなよ?」
「らじゃっ!・・今日はこれもご褒美なの?」
「・・うっせぇ・・続きは帰ってからな。」
「うん、待ってるね。」


姿が見えなくなるまで見送って家に戻るとまだ少し胸がどきどきいってた。
いつもの挨拶なら軽く触れる程度なのに、何故だか濃厚だったので。
昨夜を思い出してしまって身体ごと火照りを感じて恥ずかしい。
「待ってる」の後の小さなおまけまで嬉しくて顔が熱くなって。
つい弛んでしまう顔をぱしんと叩いて、気を取り直した。
「さっ家事を済ませてほのかもお仕事に行くぞー!」
気合を入れて夫の居る会社まで私もお勤めに行くのだ。
今は以前みたいに常勤でないけれど、ちゃんとお仕事もするの。
だんな様の秘書なのだもの、こう見えて優秀なのだよ!
「晩御飯何にしようかな〜?」
鼻歌が出てしまうくらい今日もウキウキする、幸せだなぁ・・!
お天気に感謝してお洗濯物を干してしまったら一息吐いて。
毎日お仕事も家事も何もかも全部が楽しいの。
昔も好きだったけど、今もどんどん好きになるあなたと
少しも変らないなんて意地悪言う私とで幸せがいっぱい。
変らないのはなっつんだと思うんだけどね、優しいもん。
私はどこが変ってしまったかというと・・うーん・・
やっぱりそんなに変ってないかな?なっつんが大好き。

でも不思議だなぁって思うよ、好きなのは一緒だけど、
離れててもこんなに一緒に居るみたいには思えなかった。
昔は離れてると物足りなくて寂しくてたまらなかったもんね。
結構離れてる時間もあったし、なっつんは忙しい人なんだもん・・
今も忙しいといえば忙しいのは相変わらずだけど。
修行もしないとだし、会社のお仕事もでしょ。(私もお手伝いするの)
お兄ちゃんたちお友達ともしょっちゅう会ってるしね。
そういえば、結婚して「送ってく手間が省けた」ことを喜んでたなぁ。

「ナニそれぇ!?ほのか送ってもらうの大好きだったのに!」
「最近は面倒・・ごほ・・入り浸ってるからだろ、オマエが。」
「ヒドイ、そりゃ帰るのは寂しかったけどさ・・」
「・・・・」

なっつんはそのときは恥ずかしがって言わなかったけど、後でわかった。
送っていくのが嫌なんじゃなくてほのかを帰すのが嫌だったんだって。
それならそう言えばいいのに、そしたら許しちゃうに決まってるでしょ。
相変わらずテレやさんなんだから。可愛いなぁもう・・いやんなちゃう!
私ばっかり片想いしてるんだとずーーーっと思ってた。
だから違うとわかって嬉しくって嬉しくってそれはもう驚いたっけなぁ・・
おっと、懐かしがってる場合じゃないや、休憩し過ぎちゃった。
支度をしたら行かなくちゃ、あなたの元へ。
そして表面上は嫌そうな顔していつものように出迎えてもらうの。
私だけは知ってる、あの嫌そうな顔の意味。
お仕事の邪魔になるとかじゃないんだよ、ホントはね・・・
ほのかの顔を見て顔が弛むのを我慢してるんだって教えてもらったの。
やーね、こっちの顔が弛んじゃうよ、まったく素直じゃないよね。
そんなとこも大好きなの。昔も今も、きっとこれからも。


「いってらしゃい」の朝の挨拶は結婚してからの日課だけど、
これは「後で会おうね。」っていう私たちのお約束なんだよ。
だから忘れちゃいけないの、今朝もちゃんとしたから大丈夫。
今朝みたいに少し長いご挨拶のときの意味も最近は知ってる。
そのときは「物足りない」から「おかわり」なのだよ、やーね・・
でもいいか、明日はお休みだもの。ゆっくり二人で朝寝坊しよう。
さて準備が整ったらばいざお仕事へ。「行って来ます」







新婚さんです。何も考えずにただひたすら「新婚」を意識して書きました。
そしたら新婚ほやほやより少し経ってるみたいな時期になりましたね。
数ヶ月後、或いは半年くらいでしょうか、パートタイムになってますし。(笑)
仕事は一応夏くんの専属秘書です。会社公認ということにしております。
もちろんこれらは私の勝手な妄想設定ですので、ご了承くださいませ。