「あ、殺生丸さま、やめて!」
「動くな」
「いや、やめてえ」
「力を抜け、余計痛むぞ」
「ああっいたーい!いやああ」
「あのお、殺生丸さま。大丈夫ですか、りん」
「もうすんだ」
「ひっく、ひっく・・・いたい」
「お前もそれしきで泣くな、りん」
「・・・だって。ものすごく痛いもん」
「まあかなり大きいな、これは」
「自分で抜くって言ってるのに〜」
「だめじゃ、この蜂の針は毒があるんじゃぞ」
「そうなの?」
「まったく、殺生丸さまの手を煩わせおって」
「ねえ、殺生・・・ぐえっ」
「ごめんなさい・・・ありがとう、殺生丸さま」
「これに懲りたら独りで遠出するな」
「・・・はい」
「でもね殺生丸さま、あのトリの雛助かったんだよ」
「・・・」
「良かった。助けてあげられて」
「そうか」
「うんっ」りんは満足そうに笑った。
 溜息交じりにりんの足の具合を診ると
 先ほどの傷口を消毒するため口付けた。
「わっ、殺生丸さま、くすぐったい」
 しかしぎろりと睨まれてりんは大人しくなった。
 妖怪は心配させられる者の身になれと
 言葉にはせずに思った。