「邪見さま、恩返しってどうするの?」
「恩返しじゃと?」
「うん」「どんなことすればいいの?」
「そうじゃなあ、誰に恩返しするんじゃ」
「殺生丸さまと邪見さまだよ」
「良い心がけじゃ。そうじゃな、わしは肩でも揉んでもらおうかの」
「殺生丸さまは?」
「うーん、そうじゃのお・・・」
「あ、殺生丸さま。お帰りなさい!」
「なんだ」
「殺生丸さま、恩返しさせて」
「何?」
「恩返し」
「恩なぞくれてやった覚えはない」
「でもりんを助けてくれたでしょ」
「お前のためにしたわけではない」
「りんがそう思うからいいんだよ」
「・・・ならば」
「うん。何すればいい?」
「いつも通り笑っていろ」
「? それが嬉しいことなの?」
「・・・」
「うーん、殺生丸さまったら遠慮しなくていいのに」
「遠慮なぞしとらん」
「じゃあ、何か思いついたらいつでも言ってね」
「・・・ああ」
りんが離れたあとつぶやいた言葉は誰も聴いていませんでした。
「もう少し育たんとな・・・」