夜明け



初めてあのもこもこに包まれて眠ったのはいつだったっけ
私が一緒に旅をするようになってしばらくたった頃だよね
とても暖かくて幸せな思い出
でもいつからか殺生丸さまはりんと一緒に眠らなくなった
初めのうちは寂しかったの
でも殺生丸さまが私に触れるのがなんだかとても落ち着かなくなって
嫌がったように思われたのかもしれない
ただ恥ずかしかったの
触れると胸がどきどきするようになったから
だから”今日から一人で大丈夫です”って言ってしまったのは私
「そうか」って言ったときいつもと変わらなかったけど
それからはりんがお願いしても一緒に眠ってくれなくなった
りんのほうから言い出したのにね
それなのに寂しくて夜眠れない日がよくあるの
どうしてなのか涙がでて、苦しくなるの
殺生丸さまに包んでほしくて
なのにふと思い出すの
殺生丸さまが私を抱き寄せたときのこと
口を合わせて吸われたときのこと
身体がかっと熱くなって頭のなかからしびれるような
そして力が抜けていくような、浮いてしまうような
舌の感じた熱さも感触も思い出して
恥ずかしくて死にそうになるの
とても傍へはいけない
消えてしまいたい
どうしていつもこんなこと思い出すの
また眠れなくなってしまう
どうか許してこんな私を
ずっと一緒にいたいのに
見つめないでこんな私を
あのひとは何もかも知っている気がして
どうか許してと心のなかで叫ぶの
嫌わないで、私を
あなたに触れて欲しい私を
はやく夜明けよやって来て
私をいつもの私に戻して
あのひとに嫌われてしまったら
夜明けの光とともに消えてなくなりたいから