天使の羽根



 りんの大好きだったお兄ちゃんは今もやっぱり大好きだけど
昔憧れていたときには絶対わからなかったことがたくさんになった。

すごおく心配症だとか、とっても寂しがり屋さんだったとか
思いっきりヤキモチやさんだとか言ったらきっと怒るけど。

お料理が得意だったことも掃除は苦手だったことも
お酒が強いこととタバコはりんに内緒で止めてたことも

一緒に暮らすようになってお兄ちゃんはどんどん色んな表情を見せてくれるの。
「おにいちゃん」って呼ぶと顔をしかめるの。ついでちゃうんだよ、昔のくせなんだもの。

ずっと秘密にしてたんだけどりんね、殺生丸さまの背中に羽根が見えるの。
とても大きくて綺麗な銀色の羽根なの
子供のとききっと誰も見てないとき飛んでるんだと信じてた。

いつかその羽根を羽ばたかせ飛びあがるところが見てみたい、そう思ってた。
りんは飛べないから手を振って帰って来てくれたら「おかえりなさい」って言うの。
そう思うと楽しくて殺生丸さまに会いたくてたまらなかったりしたんだよ。

「ばかなことを・・・」
「だあってえ、ほんとだよ。」
「天使ならひとり捕まえはしたが・・・」
「!///せ、っ殺生丸さま、やだどこ触って!・・・」
「触ったら悪いのか」
「もう起きようよ。好いお天気だもの。」
「飛んでいかぬようにしてからだ」
「りんはどこへも行かないよ!」
「〜〜!・・・んん・・」

りんはそのまま銀色の天使の腕の中へ落ちてしまって
子供の頃夢見たように抱かれて天へと舞い上がる
光に包まれた部屋には銀色の羽が舞い踊っている

殺生丸もまたりんの背中に白い羽根を見る
いつ飛んでいってしまうかと心配になり抱き寄せてしまう
どこへもやらないと印を付け身体中繋ぎ止める
それでも羽根は傷つくことなくそこにあって
天にも昇る笑顔を見せてもうひとりの天使を誘う

ふたりの天使は裸のままでお互いを求めていだきあい
高い高い空を天に向かって飛んでいる
光さすそこにはふたりだけの秘密の楽園がある