One more lesson



「・・・はあっ!」
「慣れないな。」
「は・・・ふ・・・」
「そら、もう一度。」
「んんん・・・ふ・・・うん・・」
「舌はどうした?」
「ふ・・・え・・・も・いやあ・・・」
「まだだ。」
「・・いじわる・・・」
「悪い口だな。」
「!!んん、ご・めんな・・・さ・・あああ」
「これくらいでこんなに濡らしてるのか。」
「ふえ・・ごめんなさい・・・」
「悪い子はそら!」
「あ!いやああん、う・うんん・あ・あ・あ」

喘ぎ声が響くとベッドも軋みも増す。
毎夜教えられてもりんはなかなか覚えないこともある。
それが楽しくて殺生丸は執拗にその苦手を責める。
嫌がれば嫌がるほど酷い目に合うとわかっていても。
りんは巧くできなくていつも涙ぐんだ。
結局はりんの好きなご褒美が施されるのだ。
そのご褒美が気を失うほどヨクて、殺生丸を許してしまう。
なんて意地悪だろうと思い、憎らしさも募るのに。
身体はもう相手の手中に落ちてしまっている。
何をし返そうが相手は喜ぶばかり。
りんはおかしくなりそうだ。
もしかしたらもうおかしいのかもしれない。
揺さぶられて、これで何度目?
でも最後にりんを引き寄せて降らせる口付けの雨は優しい。
どれほど愛しいかと切なる想いが流れ込んでくる。
どんなに酷い目に合っても、このときは
りんにとって至福のとき。
殺生丸にとっても同じだった。
どんな手管も忘れて名を呼ぶこのときを
いつも待ち望んでしまう。
夢中で縋りつく。
何もかもを抱きしめたくて。
何もかもすべて感じたくて。

「殺生丸さま?」
「何だ」
「りん、あれ・・慣れなくてごめんね。」
「いつまでも慣れなくていい。」
「ほんとに意地悪・・・」
「嫌いか。」
「・・・うも〜!」

りんがどんなにされても好きって知ってるでしょ?
そうなの、悔しいの。大好き。言わないけど。
りんがあまり上手と言えない口付けをあげると、
殺生丸さまはほんとに嬉しそう。
何もかも下手でいいんだって、りんは。
そのほうが味わい方を楽しめるって。
でもちょっとはうまくなった?・・・だめかあ。
どうしたら殺生丸さまみたいなのができるかな?
真似してみるけどてんでダメなの。
悔しいけど、もう眠くて・・・殺生丸さま、おやすみなさい・・・


りんを腕に包み、眠りに落ちる幸せは
きっとどんなに説明しても足りない。
説明する気もない。
この幸福は私だけのもの。
ぎこちない口付けと慣れない仕草。
無邪気さと艶めかしさ。
何もかも奪おうとするのは私だが、
何もかも奪われてゆくのは、
私のほうだ・・・