蝶
春の日差しのお花畑にりんは花冠を編んでいた
りんの周りに花の香りに誘われた蝶がひらひらと舞う
花と間違えて蝶が幾度かりんにとまるのを傍で見守る
銀の髪の妖がふとおもいついたようになにげなく
りんの顔を上向けその花のような唇に自らのそれを置いて
その蜜を吸う
「・・・殺生丸様」
「・・・?」
「あの、あのね、りんのお口じゃないみたい・・・」
「・・・不快か?」
「え?ううん、殺生丸様とお口とりかえっこしたみたいで
嬉しい!」
「・・・そうか」
「またしてね」
「・・・ああ」
あきれるように蝶はどこかへ
りんはそうと知らず口付けの余韻に顔をほころばせる
花が咲きこぼれるようだと妖は見つめた