つきのあかり



眼を閉じてしまったら真っ暗
だけど殺生丸さまをたくさん感じるよ
乾いてた喉はもうへいき
そのかわり舌がしびれちゃったけど
だって初めは優しいんだけどね
どんどん強く吸われるから・・
つかまれてた腕はもうじゆうになったから
殺生丸さまを抱きしめていいんでしょう?
りんもいっぱい殺生丸さまに触れるんだ
殺生丸さまは片手だけどすごく器用
手ではできないことはお口でするの
すごいなぁ・・・殺生丸さまって
感心ばかりしてもいられない
お着物をとられるのは恥ずかしい
そんなジャマそうにしなくていいのに
せっかくいただいた大事な着物なんだけど
ぽいってどこかへいっちゃったよ
そういえば殺生丸さまも着てないよね
肌が直接触れると熱くてどきどきする
でもすぐにきもちよくなって息が苦しい
殺生丸さま、お喉渇いてたんでしょう?
こんなに熱くてだいじょうぶ?
声にならないから思うだけ
りんの声変だもの でも我慢しちゃいけないんだよね
殺生丸さまの言う通りできてるかなぁ・・
もう・・りん・わかんな・・く・て・・




灯りのない暗い夜なのに
目蓋の奥には月の光
これは殺生丸さまだ
何も迷わないでいいの
このあかりが灯れば安らぐから
身体が芯から痛んでもだいじょうぶ
涙がでちゃって困ったけれど
いいよの代わりに舐めてくれる
りんね こんな気持ち知ってるよ
死んでまた生まれるみたいな心地
くらいくらいところに灯るあかり
なんて嬉しいんだろう あなたに逢えて
あかりは胸に灯ったままずっと輝いてるんだよ





「りん」
呟くと寝顔には微笑みが浮かんだ
懐の中でりんは深く眠っているのに
堰き止められぬ想いを持て余して名を呼ぶ
決して手に入るはずもないものを手にしたように
それは月から零れ落ちた光りに似ている
光りは灯となり胸の深い奥底へと仕舞う
やがて身体の芯に染み入りひとつとなる
このあかりは私のなかにおまえと共に瞬き続けるのだ







「雫月」の続きなのですvおまけということで書いてみました。
えっと、隠すほどではないと・・思うのでこのままアップします。