二文字の魔法



「会長・・あ!・・」
まだ呼びなれないその人の名前
”また!”って顔で私を軽く睨む
そんな顔もとても綺麗だと思う
本気で怒ってるのではなくて
少し”しょうがないなぁ”って
睨んだ後に微笑んでもくれる
落ち着かなくてとても困る


「ねぇ、真知。わざと言ってない?」
「えっ!?う、ううん。バカな・・」
「それならいいけど・・」
顔が赤くなって俯くと近くに落ちる影
もうすぐ傍まで来てる、それだけでもう
「あっあの、でもちゃんと呼んでるときもっ・・」
煩いくらいの動悸を押し込めて顔を上げると
思ったとおり、あなたの笑顔が待っていた
「じゃあさ、もう一回。」
私は勇気を振り絞ってその綺麗な微笑みに対する
そして息を吸い込んで、その人の名を呼ぶのだ
「・・ゆ・・」
たった二文字の名前なのにものすごく時間がかかる
特別なのだから当たり前とも言えるのだけど
私がゆっくりと時間をかけて呼ぶ間のあなたは
とても幸せそうで見ていて眩暈がするというのに
「・・き・・」
「よくできました。」
褒めてくれてその後ちょんと私の頬に唇で触れる
触れた場所が染まる あなたへの想いに
「・・ご褒美?」
「ううん、お礼だよ。嬉しいから。」
「ふぅん・・」
「あれ?もしかして物足りない?!」
「そっまっまさかっ!・・そうじゃなくて・・」
「なくて?」
「あの・・・すきって言うのとどっちが・・?」
「ああ!?・・そうだなぁ・・どっちもどきどきするなぁ!」
「嬉しい・・?」
「ものすごく。真知のことぎゅーってしたくなるよ。」
「わ・・私も・・嬉しい。」
「そういう可愛いこと言って、困るなぁ。」
「たったまには・・困っていいと・・思う。だって私ばっかり・・」
「ホントにどうしようか!?」
「?」
少しも困ってるようには見えないあなたが
私を抱きしめて少し深いキスをする
もしかして・・私はわざとしてたのかもしれない
喜んで欲しくて、そんな幸せそうな顔が見たくて
たった二文字の言葉を口に乗せるだけで
私はどうしようもなく幸せになれる
あなたの名前にはきっと魔法がかかっていて
口にすると想いも伝わるに違いない
ほら、もうどうしようもないほど零れてる
あなたと私の間にどんどん溢れてくる
「ねぇ、真知。・・好きだよ。」
「・・・嬉しい。」
私の言葉にも魔法がかけられたらいいのに
だって嬉しい、あなたが嬉しいのが嬉しい
こんなに恥ずかしいのにこんなにどきどきするのに
お互いの指が絡んでいつの間にか抱き合ってて
すごくすごく・・・不思議だ・・って思う

「真知はたった二文字で僕を落とせる。」ってあなたが呟いた
私の言葉にも魔法がかけられたのかもしれない







「フルーツバスケット」の由希×真知ですv お初です〜☆
真知が会長から名前で呼び出した頃を想像してみました。甘っ!!
実はもっと色っぽいのも書いてみたいです。ホラ、由希ってSだし!(^^;