雫   




泉のように溢れ零れ落ちる

驚かされあきれ戸惑う

「止めろ」と言ってみる

首を振り「止まらない・・・」と言う

指で拭おうとしてもキリがない

仕方なく口で吸い取る

溢れる泉の源を大きく見開き

間抜けに口を緩めたせいで

紅い舌が眼にはいる

間抜け顔に再び口を寄せ

くちづけて舌を少し吸った

「・・・しょっぱい」とこぼす

こぼれあふれた微笑もまた

雫のように眼を刺す

「何故泣く?」と問うてみる

「嬉しいの」と帰ってくる

嬉しいとき何故涙を零すのか

わからぬ表情を見て取ったか

「りんも知らなかったよ、殺生丸さま」

「殺生丸様が教えてくれたの」

微笑みは己の内に染み込んでくる

「おまえが教えたのだ」

不思議そうな顔をするな

「失えないものがあると」

繰り返し言えばまた溢れだすのか

「私とともに在ってくれ」

二人の願いは同じ

りんの眼に溢れる雫はまた

殺生丸の胸の内のも溢れている

想いは止めど無く二人を充たす

りんが身を預けると殺生丸の腕は

その身体をきつく抱き寄せた

愛しさはお互いの胸に

いつまでも尽きぬ泉になって

雫はまた輝き落ちた







※背景入れ替えました。ご了承願います。
(すみさんありがとうございました)