「覗かないでね!?」 


この頃ちょっとなっつんがね、おかしいかもしんないの。
前はよく頭をぐしゃぐしゃってされて困ったけど、それは減って、
その代わりよくほのかの頬に触れてくるんだよ、くすぐったいの。
どうも耳の辺りを触られるのって苦手なんだけど、知ってるのかな?
優しい感じだから我慢しちゃうけど、気になってしまうんだよね。
顔を覗き込まれるのってさ、なんかどきどきしない?!
ついね、手でなっつんの胸を押し返しちゃったりして。
すぐに離してくれるからいいんだけど・・それもなんだか寂しいような・・?
なんでかな、どうも気になるよね、なんかほのかに言いたいのかな。
聞いてしまおうかな〜って思うけど、なんとなく聞けないんだ・・


「あ、あのさ?なっつん、なんで・・なんか顔についてる?」
そのときもなんとなく会話が途切れたらなっつんの顔が近くてどきっとした。
「別に・・」
ほっぺをむぎゅっと引っ張られて顔が変になっちゃった。
「何すんの!?痛いじゃん!」
「そんなに力入れてねぇ。おー、伸びる伸びる!」
「むっかっー!止めてよ、もう〜!」
ほのかで遊んでるってことがわかってなんだか腹が立ったよ、どきどきを返せ!
悔しいからちょっと暴力に訴えてみようとしたら、あっさり手首を掴まれた。
「むー、ちょっとくらい反撃させろー!なっつん離してよっ!」
抵抗空しく、ほのかは逆に引っ張られてなっつんに倒れこんでしまったよ。
顔がぶつかって痛かったせいもあって顔を上げて睨みつけてやったの。
でもまた首筋と耳の辺りに触られてびくっとなってしまった。
「あっ・・やだ。離して!」
なっつんはどうしちゃったんだろう?・・・離してくれないんだもん。
またどきどきしてきて、なっつんの顔を見たら・・動けなくなっちゃった。
どうしてそんなにじっと見てるの?!・・目を反らすのも難しいよ・・
だけどどうしても見ていられなくて目を反らしちゃった。
そしたら、近くの窓のカーテンの陰から覗いてる人を見つけて驚いた。
びっくりしてよく見ると、『しーっ!』って身振りをしてる。
私は前に話したことのある人だと気がついた。なっつんのお友達だって言ってた。
なんであんなとこに隠れてたんだろう?・・驚かそうと思ってたのかな??
なっつんが気付かないなんておかしいなと思った。
「どうした?」
いつの間にかほのかの顔はなっつんのすぐ近くで、慌てちゃった。
咄嗟に口を突いて出たのが「いいの・・?あの人、見てるよ?」
「!?てめっ・・どっから?!」
そのときのなっつんはものすごく驚いてたけど、反応は早くて目を丸くした。
猛スピードでその人が逃げるのを一旦は掴まえたのに、なんとその人、脱皮したの!
というか、上着を脱いじゃったんだけどね?・・でもびっくりしたぁ・・
「ひゃははははっ!!やったぜ、スクープだーっ!!」って叫んでた!??
在り得ない展開でほのかはぽかんと見守ってるしかなかったの。
玄関先で悲鳴が上がってしばらくしてなっつんが帰って来たら、手元にカメラ付フィルム。
「あの人写真撮ってたの!?」
手元のフィルムは哀れなくらいなっつんの手の中で壊れて粉々になった。
「何度鍵を付け替えさせる気だ、あの宇宙人め・・!」
「お友達じゃないの?前にそう言ってたのに・・」
「何!?あいつおまえに近付いたことあるのかっ!」
「うん、前にここへ来る途中で声掛けられたの。」
「そ、そんで?何か聞かれたのか?!」
「どこまで行ってるかとか・・色々遊びに行ったよって言ったけど。」
ものすごーく怖い顔したなっつんはその後手で顔を覆ってしまって、ソファに座り込んだ。
なんだか色々と大変な関係なんだね?・・・ちょっとかわいそうだなって思った。
「大丈夫?!・・・なっつんも気付かないなんてあの人すごいね?!」
「・・・ああ・・けどオレも・・・修行が足りねーな・・・」
「ほーんとだよ!どうして気が付かなかったの!?おかしいなーって思ったよ?」
なっつんが落ち込んでるのを修行不足のことだとばかり思ってそう聞いたんだけど・・
なんだかほのかを恨みがましい目で見られてしまって、おっかしいなとまた思った。
「そ、それに最近なっつんちょっとおかしいもん。なんか悪いものでも食べてない?」
「おかしい・・か。そうだな・・ちょっと気合入れなおさねーとダメだな。」
「うんうん・・ほのかなんだったらお手伝いするじょ!」
「いらん。却って邪魔だ。もうしばらく来るなって言いたいくらいだ。」
「ええっ!?な、なんでさ・・?ほのかそんな邪魔してないつもりだよ?!」
「・・・まぁ・・オレの問題かな?やっぱ・・」
「何か悩んでるの?ほのかじゃ相談できないこと?師匠たち呼んで来ようか!?」
「あー・・心配すんなって。」
なっつんはそう言うけど、気になってこのままじゃあ眠れないかもしれない。
「ねぇ・・ほのかにできることない?・・なんでもしたげるよ!」
「なんでもねぇ・・」
「うん。だって気になるじゃんか、どうしてほのかに内緒なのさ!何でも言ってよ。」
「・・・おまえだから言えないんだが・・ふーっ・・」
「!?・・・う・ほのかが・・原因なの・・?そんなの・・すっごいショックだ・・!」
「そんなにショック受けんでも;別におまえは何も悪かないから気にするな!」
「うう〜・・気にするよ。いったいほのか何したの!?ごめんだから許して、なっつん。」
「謝るなって!・・・うー・・どう言やいいんだ・・」
「なっつんを困らせたり悩ませたりしてる原因がほのかだなんて、落ち込むなって方が無理だよー!」
「泣くなって!困らせてるなんていつものことだろうが、何今更なこと言ってんだよ。」
「んじゃ何だよ〜・・このままじゃ気になって帰れないじゃんかー!」
「はぁ〜・・・やれやれ;じゃあちょっとだけ・・こっち来い。」
「何・・?!殴ったりとかはやだよ?」
「おまえ殴ってどうすんだよ!アホ、もうちょっとこっち。」
ちょいちょいってまるで犬猫を呼ぶみたいで失礼だなと思ったけど、大人しく傍へ行ったんだ。
座ってるなっつんに屈んで顔を近づけた途端、おでこの前髪をばさっと手で退けられた。
おでこに感じたのは多分思った通りだろうけど、顔が真っ赤になってくのがわかって慌てた。
「ぷっ・・そんなに驚くか?おまえ、ほんっとにニブイな。」
「!!??・・・しっ失礼だなぁ、いっつもなっつんてほのかのこと馬鹿にしすぎじゃない!?」
「今日のところはそれで勘弁しといてやる。あ、それと誰でも彼でも信用すんなよ?宇宙人とはもう口利くな!」
「うう〜!やっぱり馬鹿にしてる。ほのかは人を見る眼あるんだぞ!」
「人じゃなくて、『男』は誰も信用するな。わかったな?」
「・・・なっつんも?」
「・・・そういうこと。」
「なんで?」
「おまえな・・簡単にこういうことされてんのにわかんないのか?」
「おでこ?・・・うーん・・だってなっつんだし。」
「オレだったらいいのかよ?・・おでこ以外でもか?」
「う・・んと〜・・多分。」
「へぇ〜?」
なっつんがちょびっと悪ーい顔したのが気になったけど、なんとなく引けなくてつい言っちゃった。
「なっつんだったら、いいよ!どこでもどうぞだよ!!」
「ふーん・・じゃあどこにさせてもらおうか・・?」
「う・・?なんか・・・やらしくない?目が・・ちょっとさ・・」
「どこでもどうぞっつっただろーが!?」
「・・もしかして・・ほのか、ピンチ?」
ぽかりと頭をはたかれた。なっつんは溜息混じってたけど、笑ってて安心した。
「ばーか。もっと考えろよ、まったく・・オレじゃなかったらヤバイんだぞ?!」
「ふ、ふんだ。そのわりになっつんてば笑ってるじゃんか。」
「おめーが泣き止んだからだよっ。」
「!?」
「んだよ?」
「なんか、今すごく感動した!・・なっつん、こっち向いて?」
なんだかなっつんのことすごく『好き』って思ったら、自然と身体が動いてた。
なっつんの頭を抱き寄せて、おでこにちゅうってお返ししてしまった。
それで、わかった。なっつんがほのかに言いたかったことが。
「うぁ、なんだよ、急に!」
「ほのかはどこにしてもいい?なっつん。」
「へ?!・・あ、ああ・・そりゃ・・いいけど・・」
「なんかわかんなかったことがなんとなくわかった!すっごくすっきりしたよ!」
「なんだよ、わかんなかったことって。」
「なっつんが最近ほのかに触ってくるのなんでだろうって思ってたの。」
「!・・・それで?」
「ほのかも今すごくなっつんに触りたくなったの。だからもしかしてさ、お揃い?」
「おそろ・・」
「なんていうんだっけ、えっと・・両思い!?みたいじゃない?ほのかとなっつんって。」
「・・・だから?」
「だから・・・嬉しいなって思っ・」


確かほのかはなっつんの頭を抱きかかえてたはずだったんだけど、気付いたら逆で。
ソファの上で抱きかかえられてるのはほのかの方だったの。全然気付かなかった。
それどころじゃなかったってゆーか・・・だってなっつんが・・・その・・あ、また!
「の、覗き込んだらヤダ!」
「おまえだろーが、覗き込んだのは!」
「違うよ、なっつんが・・」
「もうどっちでもいい、黙れ。」
「うー・・」


えっと、だからね、ほのかはちょびっとニブかったかもしんない。
だけどなっつんだってさ、余裕無さ過ぎだよね? 覗かれてたのにさ。
「あの宇宙人にはそれなりの報復しておく」だそうだよ、ご愁傷様。
あのときね、ほのかのことしか見えてなかったんだって、恥ずかしいね、まったく。
だけどまた感動したから、今度は落ち着いて顔を上向けて目を閉じてあげました。
ほのかってば、余裕だよね〜!でも・・・ちょっとお礼が長くて・・反省しました。
と、とにかくなっつんはこれからもっと覗かれないように気をつけるって!!
だから、宇宙人さん、もう覗かないでね!?・・恥ずかしいからね?







・・ギャグは難しいのぅ・・・と反省交じりに思う今日この頃。
甘いのを最近書いてなかったせいかどうにもこうにも・・物足りなくて!
それで結局あまあまのらぶらぶにしてしまいました!(><)
なんちゅうか、その・・ごめんなさいv(反省してなさげだな・・;)