「新島レポート〜谷本夏とほのかに関する〜」 


谷本夏の私生活に関して、特筆すべき人物の一人、
それが白浜兼一の妹、白浜ほのかである。
学年は3学年下。外見は平均を下回る。かなりの童顔。

兼一の妹であると発覚する以前、偶然知り合って親しくなった模様。
発覚後、谷本の所属した「ラグナレク」(現在は解体)により、
兼一を誘い出だす目的で当時の参謀である「ロキ」の計画で誘拐された。
谷本はその奪回に援助し、それをきっかけにラグナレクを脱退した。

ラグナレクからの独立直後はほのかとの別離を選択するも
しばらくした後、再会し現在に至るまで関係を保っている。
その関係について、ほのかの兄の立場である兼一の意見としては
「谷本が昔亡くした妹と重ねているため、妹的扱いを受けている」
と言っている。そのように取れる行動を谷本も重ねているようである。

実際を調べてみたところ、その意見に一致しない点も見られる。
ほのかは「一人暮らしでだらしない谷本の生活をみかねず、世話をしている」
そうであるが、一人前の仕事をこなせないため、ほとんどのことは谷本自身が
行っている。しかしその事実を周囲に公表することを望んではいないらしい。
世間や兄たちに「ほのかに世話をされている」と看做されることを承認している。
そこにはほのかに対する気遣いが感じられ、それに対する自覚はあるようだ。

その他に、ほのかとオセロによる約束の履行を相当数余儀なくされている。
(彼女が類まれなる強さによって取り付けた約束は全て叶えていると確認済み)
しかし谷本が勝負に勝つ場合もあるらしい。谷本が主にする要求としては
「自分の取る行動に口出ししない」こととされるのがほとんどらしい。
ほのかを退ける、或いはこれ以上の要求しない、などの願いは皆無。
要するに、谷本は基本的にほのかの願いは叶えてやることを良しとしている。

ほのかの要求の主な内容は「遊びに連れて行く」「保護者同伴の場への引率」
「肩を揉む」「そのとき食べたいオヤツを作る」「宿題を教える」など多岐に亘る。
どれも約束履行現場を目撃すれば、相当谷本を強請るネタになると考えられる。
近頃はその要求内容がエスカレートしているらしいため、詳しくは調査の必要有。


「新島、さっきから何してるんだ?」
「・・データはまめに修正を加えて更新しないとな。」
「人の弱みとかの情報集めならやめとけよ。地獄に落ちるぞ。」
「・・そんなこと言う奴に妹に関する最新情報教えんぞ?」
「えっほのか!?オマエ妹を巻き込むなと言ってるだろ!?」
「巻き込んでなんかいねぇよ。谷本との関係、気にならんのか?」
「関係って・・いやらしい言い方するなよ!」
「ま、オマエは兄だからな、一応教えておいてやる。」
「なんでそう上からなんだよ!」
「のん気な兼一くん。最新情報でわかったのだが、ほのかの奴がなぁ・・」
「まさか・・ほのかが夏くんになんかしたの!?」
「谷本の唇を奪ったそうだぞ?」
「なっ!ナニーーーーーーっ!!!??そっそれっ・・どういうことだよ!?」
「ふふふ・・どうだ驚いたか!?」
「オマエが調べたのかっ!?」
「ほのかから直接聞いた。」
「!?どうしてオマエにそんなことを!?」
「谷本のリアクションが面白いぞー!」
「・・ど、どんなだったの・・?」
「それがな・・」



「・・またコイツはぐーすかと・・寝るなと言ってんのに・・・」

谷本の家でなんの躊躇もなく、よく昼寝をするほのかに谷本はそんなことをぼやいた。
しかし色気なく大の字で寝ているほのかに、谷本はいつものように毛布を掛けてやった。
するとそのとき、寝ぼけたほのかが毛布ごと谷本に抱きついてきた。
ほのかの家のベッドに置いてある、巨大なぬいぐるみだと勘違いしたらしい。
谷本も避けるなりできたであろうに、ぼけっとしていて正面衝突したそうだ。

「・・・あり・・?なんか違う・・・」
「ねっ・・寝ぼけんな!この・・バカヤロウ・・!!」

寝起きでぼんやりしたほのかの目の前に真っ赤に茹でたような谷本がいた。

「・・なっちぃ・・どしたの?熱でもあるのかい!?」
「おっオマエっ!いっ今の・・なんにも覚えてないのかっ!?」
「今って・・ぬいぐるみの”ナッツン”を夢の中で抱っこしただけだよ。」
「ゆっゆめではそうだったかもしんねぇけどっ・・」
「??・・ああ、現実にはこっちの”なっつん”だったのだね!?」
「・・・やっぱ思い出すな!それ以上・・」
「なんで?」
「夢で見たことだけ覚えてろ!いいな!?」
「・・・どうしてそんな顔になってんの?赤くなったり青くなったり変なの?」

そのときはほのかも言われたままそれ以上考えなかったそうだ。
昨日の放課後、情報収集でほのかに会ったとき妙な様子に気付いた俺様が尋ねるとだ、

「よう、ほのか。谷本んちに今日も行くのかー?」
「やあ・・まぁね。行くけど・・」
「んっ!?その顔はなんかあったな!おい、谷本になんかされたのか?」
「うーん、そうじゃなくってぇ・・ほのかがしたっぽい?」
「なんだと!?いまどき化石のように時代に遅れたオマエにしてはやるじゃねぇか!?」
「?!それって悪口でしょ!?そんなこと言うと教えてあげないじょっ!」
「いや今のは褒めてるんだ。で、ナニをしたんだ?」
「それが残念なことによく覚えてないんだ〜・・・」
「もったいぶらずに教えてv ねっ!?」
「あのね・・なんか・・昨日なっちとぶつかったときキスした・・かも?なの。」
「ほほう☆それはそれは・・・」

「といった話を聞いたんだ。しかし谷本も役得ってか?!ケケケ・・」
「おい兼一、聞いてんのか!?」

「・・楽しそうな話だな・・・」

俺様の危険を知らせるセンサーがそのとき警告したタイミングが少々遅かった。
失態だ。一発食らってしまって床とキスするはめに・・したくねぇよ?マジで!

「・・ま、まぁいいじゃねーか?事故だろ!?事故!」
「うるせぇっ!ほのかにアレコレ訊くなと言ってあったはずだ!」
「そ、そんなに怒るとなぁ・・事故じゃなかったと思われるぞ〜!?」
「なっ!?」
「日頃面倒見てやってんだからいいじゃないか!ちょっとぶつかったくらいなあ!?」
「・・・」
「あ、あの・・夏くん?その・・事故・・なんだよね?そうだと言ってくれる!?」
「だったらほっとけ!余計な詮索するなってんだよっ!!」





「・・・はーっ・・怖かった。よかったな、あれくらいで済んでさ。」
「オマエはなんで殴られないんだ・・?」
「僕は殴られる理由ないじゃないか!?」
「事故ということにしとけって言ってたが、それはいいのか?」
「・・そんなこと言ってたっけ?!」
「谷本は事故だとは認めてなかったぜ?!」
「まっまっさかぁ!?・・」
「オマエ認めたくないんだろ?!」
「だっだだって・・ほのかに・・・ほのかに先越されたなんて思いたくないー!!」
「!!そこなのかよ?!」


・・・白浜の兄妹ともに相当現実の把握の仕方がズレている。ボケとるというか・・
谷本のほのかの扱いにおいての苦労は必然。本人はそれを承知の上で付き合っている。
二人の関係については、端的に表現するならば、現在”兄妹ごっこ”のレベルである。
ほのかは相当天然素材であり、そういうことに関して疎いことがその原因の可能性大。
であるが今回の事故は起こるべくして起こった。谷本の行動は無意識下との予想は撤回。
谷本のほのかに対する扱いは妹レベルを脱し、現在試行錯誤の段階に進んだと予想される。
よってこれからの行動としては、今回のような事故多発、関係の進化発展の可能性非常に高し。
今後も谷本とほのか、両名の動向には気を配ることとする。


                               以上










なんか・・遊んでしまったようで・・ごめんなさい;でも楽しかったです!
わかりにくかった方にちょっと補足しますと、谷本くんは避けなかったということ。
それと・・近づき過ぎてますね、ほのかに。でないと起こらない事故だと思いますv