「猫になりたい」 


なっつんの家のソファは大きくて良い感じだし、
最近プロみたく美味しいお茶をなっつんが淹れてくれる。
宿題のややこしいのもさ〜っと片付けてくれちゃう。
怪我したらお医者より丁寧に診てくれたりして。
あんまり居心地がいいから毎日来ても足りないくらい。
帰りたくないけどなっつんが怖い顔するから送ってもらう。
だってさ、帰ったらなっつんはおうち誰もいないじゃん。
ほのかね、いつかなっつんに「お帰りなさい」って言いたいんだ。
だって「ただいま」を言う人が居ないのは寂しいよ。
仕方ないから心の中で「なっつん、お帰り」って言うの。
もっとたくさん一緒に居るにはどうすればいいのかな?


「ねぇねぇ、なっつん!」
「・・・おまえなんでそんなに引っ付いてくんだよ?」
「えー?そうかな?!」
「いっつも猫みたいに寄ってくるだろうが。」
「猫!?そうだ、猫になりたい!」
「ハァ?!」
「そしたらずっとこのおうちに居てさ、好きなとき出かけて」
「今とたいして変らないんじゃねーか・・?」
「なっつんがおうちに帰ったらいつもお出迎えしてあげれるよ!」
「お出迎え?」
「あ、でも猫だから”お帰り”って言えないのか・・」
「なんだそれ。」
「なっつんて独り暮らしじゃない。だからお帰りって言いたいのさ。」
「・・・そんなこと考えてたのか?」
「うん!いっそここに住めたらいいのに。ねぇ?!なっつん。」
「おまえ・・これ以上入り浸る気かよ?」
「なっつんだってほのかがお出迎えしたら嬉しいでしょ!?」
「最近そんで学校から帰って即うちに来てるんだな・・」
「えへへvばれたか!」
なっつんはほのかの頭をくしゃくしゃっと撫でた。
「うわわ、髪が乱れるじょ!」
「おまえ、猫にならなくたって似たようなもんじゃねーか。」
「そお?じゃあさ、なっつんもっと撫でていいよ。撫でて撫でて!」
猫みたいに擦り寄って頬をなっつんの腕にぴとっとくっつけてみた。
なっつんがちょっと呆れ顔だけど嬉しそうに見えてほのかも嬉しい。
「にゃーんv」
「おまえ・・ぷぷ・・ホントに猫みたいだな。」
「わお!なっつんが笑った!にゃおにゃお!!」
「こ、こら、調子にのんな。もういいからくっつくな!」
「いやにゃー!なっつん、抱っこしてくれー!!」
「何だとお!?いやだね!」
「抱っこしてくんないとひっかいちゃうじょ!」
「マッタク、おまえは・・・」
なっつんは溜息を吐いたけどほのかを膝に抱っこしてくれた。
「うーんv好い感じ!」
「マジで猫みてぇ・・おまえ、寝るなよ?!」
「気持良いから寝ちゃいそう。そしたらなっつん、おやすみv」
「おい、こら。寝るなよ。動けねーじゃねぇか。」
ほのかはそのまんま寝たふりしたけどなっつんは律儀にじっとしたまま。
もしほのかがホントの猫でもきっとなっつんは動かないでくれるんだ。
なっつんがほのかをそうっと撫でるのがわかって頬が緩む。
やっぱり猫もいいけど、なっつんの言う通りこのままでもおんなじかもだね。
幸せだなァ・・・ホントに眠くなってきちゃった・・・
「・・・・」
私はそのままホントに眠ってたみたい。
眠ってしまう前におでこになんかあったかいものが触れたけど、
よくわかんなかった。気付くとソファの上で毛布が掛かってた。
「ふぁ・・・あ、あり!?なっつん、どこ?!」
「なんだよ?起きたのか。」
「あ・なっつん居た。ああびっくりした!」
「オレはずっと居たぞ。寝ぼけんなよ。」
「そっかぁ!ありがとー、なっつん。あー気持ち好かった!」
「・・なんか飲むか?」
「うん、飲むー!」
「猫だよ、やっぱ・・」
なっつんが困ったような笑いを浮かべた。でも嫌そうじゃない。
嬉しくてまたなっつんの腕に頬を寄せた。
「なっつん、好きにゃー!」
「阿呆!」
なっつんはほのかをつんと小突くけど顔、赤いよ?
嬉しいからもっとしちゃおうかなぁ・・・
「なっつん。もしかして猫好き?」
「別に。」
「ふーん・・・」
「なんだよ?」
「ほのかは?」
「別に!」
「別に、何だい?」
「どっちだっていいだろ。」
「猫のこと、ほのかのこと?」
「だから、どっちも・・」
「好きでしょー?!」
ぺちんとおでこを叩くなっつん。
さっき、おでこに触れたのってなっつんじゃないのかな?
今度聞いてみよう。またなっつんの傍で眠たくなったとき。
またほのかを抱っこしてね?猫でなくても。







まだまだ原作モードで恋人未満だけど、あまあまv
ほのかは猫じゃなくても十分可愛いから夏くんだって
そりゃあ可愛がりますよ!早く大人になるといいのにとか
頭を撫でつつ心密かに思っていたりしてねーっvv