『ムカつく』(夏×ほのか)



ムカムカする。
畜生、何だって、こんなにムカつくんだ。
単に、あの能天気娘が兄貴に従っただけじゃねえか。
ほのかめ、人の足に噛(かじ)り付きやがって。
お陰で俺はアイツを足にへばりつかせたままアジトに行く羽目になっちまった。
アア、何のアジトだって?
決まってるだろう。
宇宙人、新島が主催する新白連合のだ。
前は今にも崩れそうなボロッボロのビルだったんだが・・・・。
新島の奴、どんな汚い手を使ったんだか、ピッカピカの新築ビルに建て替えやがった。
フン、どうせジークの奴が一枚噛(か)んでるんだろうぜ。
アイツは宇宙人に心酔してるからな。
どうしてアジトに出向いたのかだって?
新白連合の幹部会があったんだよ。
闇の殺人拳の弟子集団、ヨミのメンバーが大胆にも白昼堂々と俺達の学校に乗り込んできたからな。
その対策を練る為、宇宙人、新島が、急遽(きゅうきょ)、俺達、幹部に召集をかけたって訳だ。
チッ、どういう訳か、俺も幹部の中に名を連ねているんでな。
一応、義理にでも顔を出さなきゃならん。
それで、前々からの予定をドタキャンする羽目になったんだが・・・・。
(例によってオセロで負けてアイツを遊園地に連れて行く約束だったんだ)
当の相手がチッとも聞き分けてくれない。
どんなに宥(なだ)めすかそうが脅そうが聞く耳もたないって感じでな。
裏切り者だ、嘘つきだのと好き勝手云われてホトホト参った。
挙句の果て、俺の右足にスッポンみたいに喰らいついて離れようとしないんだ。
こんなみっともない状態で奴らの前に出れるか。
目立たないように部屋の隅(すみ)に隠れてたのに。
こういう時に限って、あの野郎はホイホイ寄ってきやがる。
白浜兼一、ほのかの兄貴だ。
俺を倒した唯一の男、俺の生涯のライバル。
何時の日か、奴をブッ倒す。
アアッ、くそっ、寄って来るんじゃねえ!
風林寺まで一緒だ。
何が『なっつん』だ。
気安く呼ぶんじゃねえ。
俺には『谷本夏』っていう歴(れっき)とした名前が有るんだ。
クソッ、見つかっちまった。
ほのかの奴、離されまいと俺のジーンズにガッチリ歯まで立ててやがる。
こうなったら、白浜、貴様に何とかしてもらおうじゃねえか。
俺の言うことを、まるで聞こうとしないほのかだ。
どうせ、お前の言うことだって聞くはずが・・・・。

「離れろ、ほのか」

「ラジャ」

なっ、何ぃ〜〜〜〜〜〜!!!
ほのかの奴、スンナリ兄貴の命令に従いやがった。
あんなにウンザリする程、俺の家に来ては付きまとってた癖に。

「妹にとって兄の命は絶対です」

俺を見て白浜がフッと余裕の笑みを浮かべてやがる。
ムカつく。
何でか知らんが、すっげームカつく。
本当にムカつく兄妹だぜ。
クソ〜〜〜ッ、見てろよ、白浜。
いつか、必ず吠え面(ほえづら)かかせてやる。
絶対に、ほのかが、お前より俺のいうことを聞くようにしてみせるからな!!! 了






なんと!!『夏ほの』で!テキスト!をいただいてしまったのですーーーっ!!!><
思ってもみない幸運☆夏ほのサイトさまではいらっしゃらないのに以前から夏ほの作品を
覗きにウチにもきてくださっていて、大変お世話になってる方なのですが・・まさかまさか!
なんと表現してよいやら文才の無いことで申し訳ありません。猫目石さんvありがとうございます!
僭越ながら、イラストを私が付けさせていただきました。嬉しさと感謝を込めて絵は猫目石さんへv
※当然のことながら、猫目石さんのみ、お持ち帰り可能です。