「癖になる」 


だいたいあの眼がな、ちょっとでか過ぎるだろ。
そのデカイ眼をさらにまんまるくしたりしてさ。
申し訳程度の鼻なんぞ、あれ機能してるのか?
口は開けば憎たらしいことや暴言ばかりだしな。
拗ねてツンと尖らせてるときは小さいなって思うが。
ぱかっと大きく開けてるときは呆れるほどだよな。
でもってなんであんなに忙しいんだよ、表情がさ。
百面相っての、まぁ身近にあるもんだと思うぜ。
でもってあの上目遣いは止めろってんだよ・・・

それにどっから出してんだ?と思う甲高い声。
えっらそうなのに何故か耳にくすぐったいんだよ。
オレの名前・・・ていうか呼び名を連呼すんなっつうの。
もう慣れたけどな・・あんまり呼ぶと何事かと焦るって。
小さく囁いたり、呟いたり、喚いてみたりさぁ、
甘ったるい声出してみたりしてたまに驚かされるし。
アイツって何考えて生きてるんだろう?不思議でしょうがねぇ。
コロコロ笑っているときはマジで転がっていきそうで笑えるし。

最初歳を聞いたらたまげたぜ、オレと3つしか変らねぇって。
どうやって育ったんだ?・・今時あんなに幼いの見かけないぞ。
見かけだけじゃなく、中味も在り得ねぇくらいガキっぽいだろ。
そうそう、一応女なんだからもう少し考えて行動した方が良くないか?
近頃はこういうのがイイっていう変態も多いらしいしな。
オレ!?冗談じゃねぇぜ!あんなガキ、女なんて思えるかよ!?
でもまぁ・・・そこいらの女なんて何にも感じないからな。
たまにイイ女が居たって、油断ならないのばっかりだし・・・
オレは元々あんまり女好きじゃないんだよ、ほっとけ!
じゃあほのかが大きくなったらって!?・・・アホなこと聞くな。


「アホって・・・あんなでも可愛い妹だもん。気になるよ?」
「うるせぇ。アイツのことそんな目で見てねぇから余計な心配すんな。」
「・・・ふーん・・・それにしては特別仲良いよね?なっつん。」
「誰がなっつんだ!そう呼ぶなっつったろうが、バカ兄キ!」
「や、まだ兄じゃないし。とにかく大事にしてくれてると信じてるけどね。」
「いい加減に妙な勘繰りするなよ。オレはいっつも迷惑してんだぞ。」
「またまた・・君が本気で迷惑なら相手してくれてないと思うんだけど〜?!」
「・・・むかつく奴。・・アイツはその・・見てて飽きねぇから・・」
「なるほど。それはそうかもしれないねぇ!?」
「ちょっとわがままだけどな。そうだ、オマエもうちょっとしつけろよ。」
「え、何々?何の話?!」
「男相手にべたべた甘えてくるし・・・歳のわりに無防備すぎるだろ!?」
「君はアイツをそんな目で見てないんでしょ?ならいいじゃない。」
「よくねぇよ、まさか他の誰かにもあんなことしてたら・・ヤバいだろうが。」
「あれでも人のことはよく見てるんだよ、あいつ。君だからじゃない?」
「・・・そ、そぉか・・?」

”わ〜;何テレてんのかな・・・;恥ずかしい人だよ、まったく”

「む、オマエ今なんか良からぬこと考えたな!?」
「め、滅相も無い!何も考えてません!!」
「ちっ・・顔だけは似てるからやりずれぇ・・」
「ほっ・・ボクは今猛烈に両親に感謝しているよ。命拾いした感じ・・」
「その調子いいっていうか・・むかつくとこそっくりだな。」
「いや〜、ボクたち仲良し兄妹だからねー!」
「・・・なんかやっぱむかつく・・・殴っていいか?」
「何故そうなるの!?遠慮します、君って容赦ないし。」
「フン、誰かみたいに甘チャンじゃないんでね。」
「と、とにかくいつも妹を見てくれてありがとう。じゃ、ボクはこれで〜!」


ちっ・・逃げやがった。逃げ足だけは早い奴だぜ。
どうしてあんな奴の妹なんだろうな、ほのかのヤツ・・
そうでなければ今これほど近い存在でいたかどうかわからないが。
・・・・なんかアイツの顔見たくなったな・・・
バカだし、煩いし、めちゃくちゃだし、腹立つくせしやがって
居ないともうなんだか物足りなくなってしまった。
どうかしてるな、全く。あんなガキに振り回されて・・・
・・そういや、今日のオヤツ何にすっかな?
昨日から暑いし・・・アイスとか言い出しそうだな。
しょうがねぇな、アイスも好きだからなー・・アイツ。


「なっつん!何してんの?」
「わっ!?なんだよ、何で居るんだ、オマエ!」
「お迎えにきてあげたんだじょv」
「バカ兄キさっきまで居たんだが、会わなかったか?」
「会ったよ。バイバイって言っといた。」
「・・・ちょっと憐れだな、オマエ前はもっと兄キ好きじゃなかったか?」
「モチロン大好きだよ、お兄ちゃんは世界一だよ!」
「・・・あっそ・・」
「でもってなっつんはぁ・・」
「しょうもないこと言いやがったら承知しねぇぞ?」
「えー?ほのかのだいじな人vってのはどお?!」
「なんだそりゃ・・気色悪りィな。」
「なっつんてばわがままなんだから〜!じゃあ何?大好きな人?!」
「・・・もういい。どんどん妙なことになりそうだ・・」
「なんて言って欲しかったの?教えてよ。」
「そうだな・・・」
「む?突然何するんだね、このコは!」
”ホント・・なんなんだろうな・・・コイツって・・”


ほのかの顎をちょっと摘んで持ち上げて、繁々と顔を覗く。
相変わらずのデカイ眼がきょとんとしながら見つめている。
顔を近づけると、眼が寄って変な顔になったので少し笑った。

「ぷっ!ヘンな顔。」
「なにお〜!?可愛いほのかちゃんになんてこと言うんだい!」
「変だから変と言ったんだよ。」
「変じゃないもん!ちゃんとよく見る!!」
「見てる。やっぱおもしれー顔だぞ?」
「むっかぁ・・!ちょっとキレイな顔してるからって〜!」
「それはどうも。」
「手ぇ離せー!なっつんの意地悪者ー!!」
「おぉ、怒った怒った、余計面白くなったぜ。」
「ぅあーん、なっつンヒドイじょ!?なんでそんな意地悪いのさぁっ!!」
「あー、笑える。ごちそうさん!」
「むっきーっ!!」




「何やってんだよ、兼一。デバガメか?!止めとけ、あほらしいぞあのコンビは。」
「わっ!新島か・・驚かすなよ。いやほのかに言伝頼もうと引き返して来たんだけど・・」
「あのバカコンビにあてられて声掛けそびれたって訳か。」
「バカコンビって・・酷いこと言わないでくれよ、妹なんだよ、ボクの。」
「知ってるとも。こう見えても一目置いてるんだぜ、ほのかには。」
「おまえが?どうしてだよ・・?」
「難攻不落の一匹狼だったハーミットを呆気なく陥落したんだからな。」
「・・そういう言い方するとウチの妹ってとんでもない奴みたいじゃ・・」
「かなりのやり手だぞ。ウチの連合にも是非欲しいと思ってるんだ。」
「冗談止めてくれ!!そんなの谷本くんだって許さないと思うぞ!」
「そうなんだよな〜・・・まぁそのうちな。ケケケケ・・・」
「・・殺されるぞ、終いに。ボクだって黙ってないけどさ。」



逃げ去った新島の言いたいことはなんとなくわかる。
彼の最近のノロケようったら・・・さっきもどうしようかと思ったよ。
あれほどこの兄に絶対だった妹なのに近頃ちょっと自信がない。
ほのかも谷本くんのことを心底慕っているのがわかるからね。
まだまだ天然でお互いに自覚してないのが救いかもしれないな。
それでも見たり聞いたりしてると・・・かなり消耗するけどね・・・はは・・
はぁ・・もうほのかに言伝は諦めて、家には電話で用を伝えとくよ。
うわっ・・・なんか遠目で見てたら、マジでカップルみたいに見える!
くっそ〜〜!!大事な妹を・・でも・・楽しそうだな、ほのか。
もう兄は退散するよ、なんだか美羽さんに逢いたくなったなぁ!
そうだ、早く帰って修行の前に美羽さんの顔見ようっと。
やれやれ・・・いつまでやってんだろうなぁ・・・?


「もお〜〜!ばかばか、なっつんなんかべーっだ!」
「あれだな、オマエの顔ってさ、癖になるな?」
「そんな意地悪ばっか言って・・さてはほのかに惚れたなっ!?」
「なっんな訳ねぇだろ、バカ言ってんじゃねぇよ!」
「フンだ。好きな子虐めるなんて子供だねぇ〜、なっつんて。」
「なんだとー!?オマエに言われたかねーぞっ!」
「違うって言うんなら、ちゃんとほのかの目を見て、ホラホラ!」
「な・・なにぃ〜・・・見たらどうだってんだよ・・?」
「ホラ、ちゃんと見る!」
「なんで命令してんだ、おい・・・;」
「アナタはどんどん素直になる〜!」
「・・ぷっそれって催眠術のつもりか?」
「黙って!目を反らしちゃダメだよ!?」
「へーへー・・」
「アナタはほのかを好きになるー!ドンドン好きになるのでーす!!」
「バカじゃねーの・・・マジで好きになったら、どうすんだ?おい、ほのか。」
「えっ・・!?えっと・・・そしたら・・両思いで嬉しいじゃんか!」
「!?・・・」


”まじぃ・・・オレ・・・なんか・・嵌められてねぇか?!”








書けない、描けないと悩み悩んで自暴自棄になって書いたのがこれです。
ばかっぷるなら書ける、ということなのかなぁ・・・!?と、とにかく、
ワンパターンでもなんでも書けないよりは書けた方がいいですよね・・?!