帰り道



送ってもらうのはいつものこと
ついつい長居してしまって暗くなるから
ついこの間まではその腕にしがみついて
甘えるようにぶら下がるみたいに歩いてた
だけどいつからかな できなくなって
少し後をついてくみたいな そんな感じ
私が遅れ気味だと立ち止まって
ほんの少し振り向いて待っててくれる
目が合うと嬉しくて微笑んで駆け寄るけど
あなたはふいと前を向いてしまって
寂しいなって思いながらもほっとしたりして
だって見つめられるとなんだか変なの
顔は熱くなるし、どきどきするし
息まで苦しい気がするの
ねえ、どうしてかな


早く帰らせたいのに今日も叶わなかった
引き止めようとはしていない
だが気づくと日はとっくに傾いていて
ため息交じりに送リ出す
二人で歩くのは苦手だった
あいつはいつも俺の腕にしがみついていた
「歩くの速いよ、ゆっくり歩いて!」なんて言って
面倒でそのまま引っ張るように歩いていた
文句を言いつつ楽しげについて来る
猫がじゃれつくようなくすぐったい気がした
それがぱたりとしなくなった
俺の後を黙ってついて来る
速度を落として歩くがそれでも遅れがちで
時折振り向いて待っていてやる
目が合うと嬉しそうに駆け寄ってくる
そこだけは変わらないのにほっとする


もっと遠慮なしな奴だったはずだ
それなのに俺に触れてこなくなったのは
前に俺があいつを突然抱きしめたから
嫌がったわけじゃない ただ
震えてた身体を今も忘れない
もうしないと言えば平気だと答えたくせに
そんな顔をさせたかったんじゃない
俺がどうかしてたんだよ
おまえは妹みたいなもので
この手に閉じ込めていいわけがない

ぼうっと後ろをついて歩いてたら
またうっかり遅れてしまって
お酒の匂いにはっとして我に返った
ご機嫌なおじさんがかわいいねと声を掛けてた
びっくりして逃げようとしたら腕を捕まれて
怖くて目をつむってしまったの
でも私の腕を取り返してくれた
何やってんだと怒りながら
ずんずん引っ張られてそれでもほっとして
「なっつん、ありがと」
そう言ったら急に立ち止まるからびっくりしちゃった


「俺に触れるのが嫌なら・・・」
「え?」
「服の端でも掴んでろ。」
「う、うん。でも別に嫌ってわけじゃないよ?」
怖い顔。心配してくれたんだね、嬉しい。
「じゃあ、手を繋いでもいい?」
「・・・」
何も言わずにあなたは背中をくるりと向けると
ポケットに突っ込んだまま腕を少し持ち上げるようにして
その腕に私は久しぶりに手を伸ばした
まるで花嫁さんみたいだななんて思いながら
ゆっくりと歩き出したの
なんだか照れくさくて 嬉しくて
あなたに顔を摺り寄せてしまった
どきどきするけど幸せで
ちょうど路地だったから思い切って
立ち止まってあなたの腕を強く引いたの
驚いたあなたを見上げてじっと見つめてみた
ものすごくどきどきしてどうかしちゃいそうだった
顔を上向けて勇気を出して目を閉じてみる
一瞬あなたと目が合って 胸が弾けるかと思った
ものすごく長い時間が経ったようだった
とてもとても優しい吐息がこぼれた
離れたのが寂しくて涙が出そう
ずっとこうして欲しかったんだ
ごめんね、ずっと待たせてた
これからは怖がったりしないから
だってこんなに幸せなんだもの
あなたの瞳は綺麗でめまいがする
帰りたくないななんて言ったら
つんとおでこを小突かれた
どうしてそんな困った顔するの
嬉しくないの?と問い掛けたら
「知らん」と言ってそっぽ向くあなた
でもね、耳、赤いの見えたよ
私はも一度腕にしがみついて微笑んだの






・・・・く、くっさ〜!!!(><)もうどうしようって感じ・・・
あまりの甘さに砂を吐くどころか砂漠に沈みそうです。ご・ごめんなさい。
ほんの思いつきで描いた絵に自分でテキストつけたらこんなことに!?
ああ、恥ずかしい。恥ずかしいんでちょっとどこかへ埋まってきます。