「愛しいアナタ」 


私の大好きな人はね、とっても可愛いの
お兄ちゃんと同じ年で武術家でとっても強いんだ
でもって綺麗な顔してるけどちょびっと暗いんだ
小さなときから苦労ばっかりしてたせいかな
でもね、今はほのかもいるでしょ
小さいときできなかったことしてあげたいの
ご飯作ってあげたり、お弁当届けてあげたり
「良いコね」ってヨシヨシしてあげたり



「あ、なっつん、お帰り!」
「おまえ〜!学校帰りに待ち伏せとかすんなよ!」
「えへへ、一緒に帰ろ?」
「まったく・・・今日も宿題手伝わせる気か?」
「今日はないじょ。だからオセロ勝負たくさんできるよ。」
「オレはそんなに暇じゃねぇってのに・・・」
「まー、まー、せっかくお茶も新しいの買ってもらったしね。」
「おまえのせいで要らん買い物が増えたぞ。」
「要らなくないじゃん。必需品だもん。」
「今日はすぐ帰れよ、用があるんだ。」
「え、何?どっか行くの?!」
「ああ、だからお茶飲んでさっさと帰れ。」
「どこ行くの?ほのかも行っちゃダメ?」
「ダメだ。」
「ケチ!後つけようかな・・」
「やめろ。・・・ただの墓参りだ。」
「!・・・それならやっぱりほのかも行こうか?」
「何でだよ?」
「一人じゃ帰り道とか寂しいよ。ほのかは一人じゃ嫌だな。」
「・・・おまえも墓参りとかすんのか?」
「うん、大好きなお祖母ちゃんが死んだときすごく辛かったよ。」
「いつもは家族で行くけど、一人でも行ったこと何度かあるんだ。」
「・・・・」
「そんときはいつも帰り道が寂しいもん・・」
「オレは別に寂しかねぇからほっとけ。」
「・・・じゃあ、ほのか帰って来るのを待っててあげるよ!」
「ふーっ!わかった・・・連れてきゃいんだろ!」
「うん、ありがと。」
「しょうがねぇな・・」


「思ったより近くのお寺だったから早く済んだね。」
「まぁな・・遠いとこだとあいつ寂しいだろ。」
「良いお兄ちゃんだねぇ・・なっつん、ちょっとおいで。」
「”おいで”ってなんだよ?!」
「いいから、こっちこっち。」
「なんだよ?」
「ここ、ここに座って。」
「なんのために?」
「いいからさ、ね、なっつん。」
「・・・変な奴だな・・」

帰って来たなっつんの家でお茶を飲んて休憩した後
私はずっとしたかったことをすることにしたんだ
なっつんが立ってると無理だから座ってもらって、
お母さんがするように優しく頭を包むように抱いてあげるの
「夏は優しい良い子だね、・・・ヨシヨシ・・」
なるったけの優しい声で言いながら頭を撫でる
なっつんの髪が柔らかくてこそばゆいけど我慢して
「良いお兄ちゃんだから、妹も喜んでるよ。」
なっつんは黙ってて、いつもみたく怒らなかった
振りほどかれるかなってちょっと心配してたんだけど
そのまま私も黙って抱いていてあげたの
いいよね、ちょっとだけ・・お母さんみたいにしても
「・・・もう離せよ・・」
「ん?もういいの?」
「オレはおまえの息子でもなんでもねぇだろが・・」
「そりゃそうだけど、いいじゃんか、ちょびっとだけ。」
「ふん、お節介ってんだよ。」
「ふふふ、でも大人しくしてたじゃん、なっつん。」
「言ってろ。・・・オレたちを産んだ奴なんざ覚えてねーが・・」
「きっとなっつんに似て美人だったんだろうねぇ!」
「じゃなくて、そんなもんどうでもいいってんだ。」
「・・・ほのかが嫌なんだもん。」
「何が?!」
「たくさん抱っこしたかったかもしれないよ、もしかしたら。」
「そんな奴がオレたちを捨てたりするかよ!?」
「よくわかんないけど、なっつんにそうしたいんだよ、ほのかは!」
「おまえはオレの母親じゃないだろ!」
「でも、大事だよ!世界で一番心配だもん!」
「うるせーよ・・・ばかやろ・・」

なっつんが大きななりしてほのかに縋るようにするから
いっぱいに腕を伸ばして抱いてあげたの
ほのかがお母さんの代わりにいくらでも抱いてあげる
そう言ったら、やっぱりお節介って言われたけど
なっつんはほのかを強く抱きしめてくれたよ
ほら、なんて可愛いんだろ 良いコだね
ほのかがずっと傍に居てあげるから 心配しないで







シリアス第二弾。真面目な話も書くんですよ。
とかそういうこと言ったら台無し・・・;
もう一つの「可愛い人」はギャグです。(笑)