He has trouble



悩みごとはナンデスか?
長い間お悩みデスか?
解決の目処は建ってマスか?
悩むことでアナタは成長するのデス!
青年よ、悩みを抱け!・・なのデス


仕方ないだろう?オレだって都合ってもんがある。
なんでもかんでも言うこときいてやれるわけねぇ。
第一、なんでオレが怒られないといけないんだ?
オレはおまえの兄でも親でも、ましてや恋人でもないのに。
「なっつんのお馬鹿ーっ!!」
「聞いてねぇって、そんなの。」
「ちゃんと言ったもん。ホントに絶対。」
「もうあきらめろ。終わってるよ、とっくに。」
「うう・・・なっつんが悪いーっ!」
でもってなんでもかんでも悪いのはオレだ・・・
別にこいつが殴ってきても痛くも痒くもない。
怒っても次の日にはけろっとしてやがるしな。
涙には弱いが、オレだってそうそう負けてない。
ただオレの懐に飛び込むのだけはどうにかして欲しい。
ちっさくて華奢な身体を受け止めるくらいどうってことないが。

慰めてやればいいんだって頭ではわかるんだが
栗色の柔らかい髪に手を置くのはくすぐったいし
腕なんか掴んだら折れてしまいそうに細くてびびるし
腰はあんまり頼りなくて、どこ持てばいいやらで、
いっそのこと抱きしめてしまおうかなんてうっかり思ったら
やっぱりそれはどうにもマズイだろうと焦るし・・なんとなく
こいつの取り扱いには説明書でも付けてもらいたい
たまに可愛いこと言って和ませられたり
見透かされたような言動で動揺させられたり
マセたことぬかして人をおちょくったり
寂しそうな顔して甘えてみたり・・・
そうだよ、そのたんびに困ってるんだよ


どこまでが兄の立場だ?
どんくらいなら触れていいんだ?
慰めるのってどうすんだっけな?
笑えよ、そんな顔しないでさ・・


初めのうちはあれほどウチへ来て欲しくなくて
心に残ってしまうような笑顔は見たくなくて
纏わり付いたり構ったりしないでもらいたくて
オレのことなんざ信用しなくていいって思ってた
それなのに いつからか

願えば叶えてやりたくて
笑っていればほっとして
信じてくれれば応えたくて
甘えられたら甘やかしたくなる


「なっつん、聞いてる!?」
「あ、ああ。」
「来週こそは行こうね!ちゃんと約束して!!」
「・・・わーったよ・・約束した。」
「よーし、来週こそはあの映画だーっ!!」
「ふーっ・・・おまえはホントに・・」
「ホントに・・何さ?」
「やっかいだ。」
「・・そんなこと言うけどさ、なっつんて面倒見るのって好きでしょ?」
「はぁ?!そんな奴いるかよ。」
「相当お兄ちゃん気質なんだね。面倒見たがりだもん。」
「オレが?!わがまま言ってんのはおまえでオレは・・」
「なっつんにしかここまではわがまま言わないよ。」
「・・そうなのか?」
「うん、だってなっつんだけがわがままでも叶えてくれるんだもん。」
「確信犯かよ!」
「えへへ、だけど大好き。妹扱いはちょびっと不満だけどね。」
「妹・・・でなかったら何がいいってんだよ・・?」
「うーん・・恋人とか。」
「なわけないだろ?!」
「ぶーっ!そう言うと思った。」
「まだはえー。」
「んじゃいつならいいの?」
「いつって・・っいつでもいいことねぇ。」
「いつでもいいの?マジで!?」
「聞き間違うなよ、いいことねーって言ったんだよ。」
「ウソぉ!今いつでもいいって言ったよー!!」
「言ってねー!」
「間違ってないもん。じゃあ今から恋人にして?」
「ダメ?!」
「ケチ!」
「誰がケチだ!?」
「なっつんだよ。じゃあ、ほのかが他の誰かの恋人になっていい?」
「ああ?!そんな殊勝な奴どこに居んだよ?」
「いいの!?」
「・・・やめとけ、相手が気の毒だから。」
「ええっ!?」
「おまえみたいなの恋人なんかにしたら大変だろ?!止めとけよ。」
「ぶーっ!失礼しちゃうな!なっつんはわがままきいてくれるじゃん。」
「だから・・オレくらいだろ、そんな・・・奴・・;」
「!?あ、引っかかった。」
「おまえ〜!?」
「こんな単純な手に引っかかるなんて修行が足りないじょ!」
「うるせーっ!!」
「なんでダメなのさ、遠慮しなくていいって。」
「遠慮なんかしてねぇ!」
「いっつも困ってるくせに。」
「な、何を?!なんも困ってねーよ。」
「すぅおぅカナぁ〜!?」
「な、なんだよ、その目は・・」
「いっつもほのかに触るの遠慮してるくせに。」
「!?そ、そんなことしてねぇ!」
「ふーん?じゃあね、試しにほのかの手、握ってみ!」
「な、何でそんな・・」
「ほれほれ、どうぞ。」
「嫌だ。」
「じゃあね、頭ナデナデでもいいよ。」
「そんな子供にするみたいなこと・・」
「じゃあ、キスしてみる?!」
「!!??ダメだっ!!」
「どれか一つでもできたら、許してあげるよ!」
ちょっと待て、どうしてオレは追い込まれてるんだ?!
こんな、こんなガキになんだって!?
「さぁさぁ、どうすんの!?」
「お、おまえ・・・だから・・・そういうことはだな;;」
「別に子供になら簡単にできることばっかりだよ?」
「・・・・」


オ、オレは・・・どうすりゃいいんだ・・・?
頭くらいちょっと撫でてやればいいんだよ、こいつの言う通り。
なのになんでこんなに汗が・・・?固まり過ぎだろ?オレ。
わかったぞ、こいつにはオレはウソが吐けないんだ。
得意なはずの長年培ってきた演技力の欠片も生かされない。
いつだってこいつは真直ぐで、嘘の無い眼でオレを慕って。
だから裏切って傷つけたくない、そのままでいて欲しい。
つまり、要するにオレは・・・・どうすれば!?








夏くんを困らせ隊、隊長の管理人です。おそらく隊員多数。(推定)
困らせるのはやはりほのかちゃんで。(決定事項或いはお約束ともいう)
困ったままで終わらせましたが、いけなかったでしょうか?(笑)
夏ほのばっかり続きましたが、ほの夏が基本ですね、やはりね?!