「あったかい」 


実力行使っていうのかな?それは反則だと思う。
なっつんはね、優しいからめったにしないけど、
たまにね、『問答無用』にされちゃうんだよ。
そりゃあ文句言うよ。あったりまえじゃんか。
ほのかはなんにも悪いことなんかしてないんだもん。
そんな扱いに対しては断固抗議するともさ。
意地悪なんてしてないよ、意地悪なのはなっつんの方だよ。
ぽかぽか叩いたってびくともしないって知ってるけど、
ちょっとでも抵抗するのだ、負けないからね!
なんだい、その溜息。ほのかの方が吐きたいほどなのに。
ほっぺをよくびにゅーんって引っ張るのもやめてよね。
結構痛いんだよ!でも痛くないとダメだって。信じらんない!

「どういうことさ!?暴力反対だよ!」
「お仕置きっていうんだよ、こんなのは。」
「だからなんでお仕置きされなきゃいけないの!?」
「人の言うこと無視してっからだろ。」
「無視なんてしてないよ、『きけない』ってだけじゃん。」
「どっちでも一緒なんだよっ!」
「もーっ!下ろして。なっつんのバカ!横暴っ!偏屈!カッコつけ!・・」
「うるっせーな・・黙らないともう一回痛い目合わすぞ、コラ。」
「だってだってどうしていけないの!?ほのかの言うこと聞けー!」
「聞けるか、ボケっ!」
「いやだぁっ!聞いてくれないとお泊りするじょーっ!!」
「じゃあこのまま家まで行って部屋に放り込んでやる。」
「やっ!帰らないよっ!やだやだ、まだおやつも食べてないー!」
「じゃあもうあんなこと言わないって約束しろ。でないとこのまま帰す。」
「前はよく一緒にお昼寝したじゃん。どうしてダメになったの!?いつからー?!」
「いつまでも子供みたいに・・・ダメなモンはダメだ。」
「ちみはほのかのお父さんかね!?ケチ!男はもっと大らかにだね・・」
「おまえは寝ながら擦り寄るわ、オレの首に巻きつくわで大変なんだよっ!」
「いいじゃんか、それくらい。引っ付いた方があったかいでしょお?!」
「オレはおまえのカイロでも布団でもねーってんだよっ。」
「んもう、なっつんだってあったかいって言ってたじゃんかー。」
「あっあれはその・・寒い日だったし・・」
「あのときは寝ぼけて擦り寄ったのはなっつんの方からだったよ?!」
「だっ・・だからもうあんなコトはしないようにだな・・」
「いいよ、ほのかであったまっても。なっつん寒がりなんでしょ、実は。」
「ちがっ・・おまえなぁ・・;」
「せっかくお昼寝用の服まで持ってきたのに。がっかりだよ・・」
「ここは保育園でもなんでもないってのに何考えてんだよ?」
「ココ落ち着くんだもん。なっつんのベッドなんてサイコーだよ。」
「ひっ人聞きのわりぃこと・・おまえが勝手にオレのベッドで・・貸さないぞ、もう絶対!」
「なっつん待ってたら寝ちゃったんだもん。お布団掛けてくれてたじゃん?」
「来ないなと思ってたらあんなとこに・・ドンだけ驚いたと思うんだ?!」
「ごめんって言ったじゃん。部活で疲れてたんだよ。」
「そういうときは家に帰ればいいだろ、まっすぐに。」
「うっかり足がこっちへね。ほら習慣ってヤツ?」
「おまえが入り浸ってるせいで色んな誤解が生じてるんだぞ。」
「誤解?」
「・・嫁に行けなくなってもしらんぞ。」
「いいよ。なっつんが居るから。」
「オレはもらわないからな!!」
「なんでさっ!?ほのかはお得だじょ?丈夫で長持ちvおまけに可愛いでしょ?」
「自分で言うな、阿呆。冗談じゃねぇぜ、おまえなんか・・」
「むっか〜!ヒドイ・・『なんか』とは何なのさー!」
「おっおまえなんかもらったら、毎日おまえのお守りだろ!?」
「あれ?今と一緒?!」
「えっ!?・・・や、だからこんなこと毎日・・・やっぱやってらんねぇっ!」
「なんで顔赤くしてんの?なっつんってたまによくわかんないな。」
「ごっ誤解すんな。面倒ばっかり掛けられてうんざりだっつってんだろ?」
「嘘吐き。今さっきすごく嬉しそうだった。」
「じゃねぇっ!嬉しいわけあるかっ!!」
「ねぇ、もうお昼寝はいいからおやつにしよ?ほのかお腹空いちゃった。」
「はぁ・・なんかオレも喉渇いたな・・」
「今日はね、スコーンが上手に焼けたよ。エライでしょ?」
「オレが教えたんじゃねーか・・まぁうまく膨らんだな、今回は。」
「でしょお!?先生が良いからだねv」
「ま・まぁな。紅茶はフォションか?」
「うーんと・・ウェッジウッド!」
「ワイルドストロベリーのがあったな・・」
「それーっ!!アレも出して、ピーターラビットのジャム。」
「どうせあんなモノおまえしか食わんからな。」
「うんうんvなっつんありがと♪」
「もうすぐ無くなるからまた・・・っと・・」
「うん?今度買い足すの?いいよ。一緒に行こうね。」
「・・・・ぅ・・・まぁ・・・『ついで』にな。何かの・・」
「ハーイ!オッケーです。お兄様。」
「ちっ誰がお兄様だよ、調子に乗りやがって・・」
「ダンナ様のがいい?」
「なわけねーだろ。バカモン。」
「じゃあ、なんて言ったらウレシイ?なんでも言ってあげる。」
「おだててどうするつもりだよ。昼寝はダメだぞ。」
「ちぇ・・イケルかと思ったのに・・っイタタタッ!」
「まったくおまえってヤツは〜!」


機嫌が直ったから、もう一押ししてみたけどダメだったよ・・ケチ。
でもなっつんてば抱っこしたまま居間まで運んでくれたんだよね。
きっと忘れてるんだよ、なんで抱き上げたかをさ。バカだね〜v
なっつんのベッドで一緒にお昼寝しよって寝転んだからなんだけど。
おやつも美味しかったし、まぁヨシとしよう。
でもほのかは懲りないのだ。またお試ししてみようっと。
どうして嫌がるんだろうね?なっつんだって引っ付くの好きなくせに。
だってさ、よくこんな風に抱っこしてくれたり手を繋いでくれるし。
お買い物のときほのかが迷子になったりしたことあるからだけど。
だけどね、絶対離さないよ、なっつん。ちょっと嬉しかったりする。
なんだかすごく安心するんだ、なっつんに触れてるとさ。
それ言うとすごく難しい顔するけどね。なんでだろ?
なっつんは違うらしい。教えてくれてもいいのにねぇ。
嫌なんじゃないとほのかは思ってる。だって嫌そうに思えないし。
「あったかいね?」って言ったら一度だけ「・・ああ」って返事してくれた。
手だけじゃなくってね、なんだか心の中まであったかくなるんだよ。
嬉しいからもっとあったまりたいんだ、なっつんと。
だからいつでも逢いに来るの。困った顔してても絶対突き放したりしない。
なっつんと一緒に居るとどうしてこう嬉しいことばっかりだろう?



「なっつん、ごちそうさま。」
「寝るなよ、腹膨れたからって。」
「わかったよ・・起きてるよ。」
「宿題見てやるから。あるんだろ?」
「うげっ!なんでそんなことまでマメなのさ?」
「オレのせいで成績下がったとか言われたかねぇ。」
「もしかしてお母さんから何か言われてるの?」
「別に。成績上がったって感謝ならされたが。」
「うわっ、やっぱし。なんてイイカッコしいなんだい、ちみってヤツは・・」
「カッコつけてるわけじゃない。何にでも馬鹿にされるのが嫌なんだよ。」
「そうだった・・なっつんてばものすごい負けず嫌いだもんねぇ・・」
「おまえにだって負けたままじゃいないからな。」
「むむっ!死守するもん。オセロだけは。」
「ふん。ホラ、早く教科書とか出せ。」
「ほのかお昼寝の方がいいです、先生。」
「それはダメだよ、ほのかちゃん。」
「っうっ・・・・気持ちわる・・」


最近なっつんはヒキョウな手も使うようになった。
人前での優等生顔でにっこり笑う、という心理作戦だ。
ほのかの前とは180度違うからどうにも気色悪いんだよ。
どうしてそんな気持ち悪いことするのか尋ねてみたらね、
外ヅラに騙されるかどうかで人を大まかに判断してるらしい。
そんな警戒しなくてもいいのに、なっつんは怖がりさんだ。
でも大分表裏がなくなって来たような気もしてる。
きっとお兄ちゃんたちとお友達になれたからだね。
ほのかも少しは貢献してるといいんだけど。
すごくイイヤツだってほのかにはすぐにわかった。
こういうのはね、肌でわかるものなんだよ、きっと。
なっつんの手はいつだってほのかを護ろうとしてくれるもの。
冷たい手も心も、繋いでみればあったかい。
そんななっつんが大好きなんだ。








日頃のいちゃつきぶりを書いてみただけの話。
夏ほの不足なんで補ってみたわけです。(++)
無意識にほのかに触れてたりするといいなと思うんですよ。
でもって言葉より肌でお互いを必要だと感じるといいなと。
あ、肌っていってもやらしい意味ではないですよ?念のため。(笑)