「明日はもっと」



そりゃあ色んなのがあるんだろうなぁ
恋なんて人の数以上にたくさんあるんだもんね
私はどんな恋がしたいのかな?
いつも子供扱いする人に恋してるって告げたら・・
あなたは私を恋人にしてくれるのかなぁ?


知り合ってからずっと居心地のいい場所だった。
口は悪くて少し暗くて友達は少ないけど
すごく優しくていいやつの傍は。
気がついたら一番の場所になってて。
前はそんなことなかったのにどきどきしたり、
気にならなかったことがやけに気になるようになったり、
もっと大胆なことしてたのにちょっと触れただけでおかしくなったり。
ほら今も胸の奥が痛いよ、なんでなの?
大好きって心でそう思った、それだけのことで。
「どうした?急に黙って。」
「え?あ、ううん!別に・・」
「おまえ最近大人しいな、なんかあったのか?」
「う・ううん、なんもないよ?」
どもったのがいけなかったのか顔を顰められてしまった。
「つまらないならもうオレんとこに来るなよ。」
「やだよ!誰がつまんないなんて言ったのさ?!」
「第一、つまらなさそうなのはなっつんじゃんか・・!」
「・・何怒ってんだ。オレはいつもと同じさ、こういう顔なんだよ。」
「だって・・・ねぇ、なっつんてさ、キスしたことある?」
「はぁ?!・・・いきなり何言ってんだ・・・」
「いつもなっつんて私のこと子供だっていうけどさ、なっつんは?」
ちょっと自分で言ってびっくりした。そんなこと聞くつもりじゃなくて。
「恋したことある?好きな人に告白したり・・したことあるの?」
どんどん出てくる科白を止めたいと思うんだけど、どうしようもない。
「・・・さぁな・・おまえよりはマシだと思うが。」
なっつんが沈黙を破ってくれて心底ほっとした。なんとか止められた。
このままだともっととんでもないこと言い出しそうで困ってたから。
「そんな経験だけをとって大人とか言ってんのか?」
「う・・そりゃ・・そればっかりじゃないよね・?」
「出合った頃より少しは成長してるだろ、おまえも。」
「そう?!なっつんは・・あまり変んない・・か・な?」
「・・・そうかもな。」
「ううん、やっぱり少し変った。私の気のせいかもだけど・・」
「へぇ、どこが?」
「・・よくわかんないけど・・」
私は今度は言いたいことを飲み込んでしまった。
なっつんが私に時々見せる視線が以前と違うんだって。
何故だか動悸がして言えなかった。言ったらいけない気がして・・
「ね、なっつん・・・・・・・・・キスして?」
驚いたなっつんの顔、私も驚いたよ、なんでこんな言葉が出てくるの?!
「ねぇ・・ダメ?」
胸が騒いで語尾が震えたのがわかると余計動悸が増したみたい。
「おまえ、オレ以外にそんなこと言ってねぇだろうな?」
「うん、初めて。こんなこと頼んだのも・・」
「好奇心だったらこれっきりにしとけ。いいか?!」
怒ったような口調と目つきに私はうんと頷いた。
「オレは探られるのは好きじゃねぇんだ。」
「おまえにするなら、本気でするぞ?いいのか?!」
胸がぎゅっと潰されそうなほど痛んだ。ひりひりする・・
「・・・うん。子供扱いしないで。」
そしたらわかるだろうか?こんなことをしたい理由が。
なっつんが他の人とこんなことしたら嫌だって思うのがなんでか。
そうだよ、ほのか知ってるんだから、なっつんがとても女の人にもてること。
なっつんが私に隠してることだっていっぱいあるんだってことも。
悔しくて寂しくてそんなこと考えたら眠れないんだよ。
なっつんが知ってるなら教えて?この気持ちがなんなのか。
ふっと柔らかい感触に目を瞑ると額に温もり。
「なっつん?・・・あの・・」
目を開けると溜息を吐いてなっつんが私を見つめてた。
「子供扱いなんてしてない。・・最近は。」
「嘘、今だって・・」
唐突に目の前になっつんの顔が迫って顎を捉えられて驚いた。
「こんなことなんざいつだってできる、おまえすきだらけだからな。」
「・・・だけど!」
「違うんだろ、ほんとは?!何一人で悩んでんだよ?」
「・・・なんで?キスしてよ、なっつん。どうしていつでもできるならしないの?!」
私は自分でも馬鹿だと思うけど大声で叫ぶと泣き出してしまった。
「子ども扱いしてないなんて嘘だよ、私がなっつんとしたかったら可笑しい?!」
「なっつんのばか!ほのかなっつんのこと・・」



頭の中が真っ白になって、感覚だけが生々しくて時間の感覚もおかしいかもしれない。
どれくらい固まってたのかわからないけどもしかしたら一瞬だったのかもしれない。
「最後まで話を聞けよ!」なっつんが怒ったように言ったので我に返った。
「オレが手を出さなかった理由なんて他にないだろーが?!」
「おまえが好きだ・・・・って聞いてるか?コラ!」
なっつんの顔が赤いのって気のせいじゃない?もしかして・・
ねぇ、もしかしてなっつん・・・もおんなじ?!
恥ずかしくて、今更みたいで言えなくて、でも違う自分を見て欲しくて。
ぐるぐるしてたのはほのかだけじゃなかったのかな。
どうしよう・・・すごく嬉しくて涙が止まらないよ?
「〜〜〜〜!ああもう、こんなはずじゃなかったのによ・・」
「え?何?!」
「もっとその・・・なんというか・・・やり直しさせろよ!」
「!?・・・やだぁ・・・なっつん・・」
「なんだよ、余裕じゃねーか。ちゃんと今度は目瞑れよ!?」
「うん・・・もう一度・・」
結局ファーストキスは二回したことになるのかな?
そう聞いたら「どっちでもいい」って言われちゃった。
「そうだよね、なっつんとってことが大事だもんね?!」って言ったら
抱き寄せられてぎゅうっとしてくれたの。ちょっと苦しかったけど幸せ。
「なっつん、大好きだよ・・?」
あんまり幸せだから照れずに自然に言えたの。
その後のキスはちょっと言えない。だって・・・
そんなの知らなかったから怖くてまた泣いちゃって・・
なっつんが困ってよしよしってしてくれたのは嬉しかったけどね。



「なんかいっぺんにたくさんしちゃったね・・・」
「これくらいで終わりと思うなよ?」
「え!?そうなの?!!」
「我慢してた分も取り返すからな。」
「え〜〜〜!?」
「嫌なのかよ?!」
「ううん、嬉しい!」
「ならヨシ。」
偉そうに言うのが可笑しかった
なっつんは私の恋人でほのかもなっつんの恋人なの
もう前からそうだったんだね、気付かなかっただけ
昨日より今日の方がなっつんのこと好き
今日より明日はもっと好き
だから隠さないでね?明日はもっと伝えてね









パラレルでキス未満から一気に恋人へとジェットコースターです。
もうくさすぎて途中でいやになるほどでしたが、書き上げましたよ(笑)
夏くん余裕と見せかけて結構初心でしょ?!そこが書きたかったのです。
たいして経験ないと思うもん。修行ばっかりしてたから。(笑)