「逢いたいよ」 


当たり前のことだけどいつも逢えるわけじゃない
学校だってみっつ離れてるから一緒は有り得ないし
私だって用事があって行けないときあるし
行ったら留守ってことだってもちろんある
そんでもって今回はちょっと長く逢えないって知ってる
何故かって私も連れてってってお願いしたから
でもそこは私には行けない場所だってわかって諦めた
帰って来るって約束して別れたの
おでこにちゅーくらいじゃ足らないから
帰ったらほっぺにもしちゃうんだから!
ねぇ、逢いたいよ なっつん


オレが来るなってつっても何度でも来るし
勝負事もあったからついいつも家に居るのを許した
とにかく図々しいから閉口しちまうのに
あいつに逢えない日はなんとなく足らない気がする
ふと思い浮かべるのはあいつの色んな表情で
耳に声すら聞こえそうなほど身近になってて
だけど今度ばかりはしばらくお預けだ
オレだってそうそう暇じゃないからな
ついて来るとごねたあいつを宥めて
いつ帰るかわからない旅に出る
それでも帰ると約束しちまったのは
あいつが涙を堪えてたから
おまえの笑顔をもう一度見たかったから
生意気な餞別のキスは微かな温もりで
それでも十分お守りになってら
帰ったらもう一回してくれるってか
そうだな、オレも したいな



「なっつん!!!」
「うわ、おまえ・・!まだ帰ってなかったのか?!」
「ねえ、ホントにホントに帰ってきたら一番にほのかに知らせてよ?!」
「わかったっていったろ!?疑り深いやつだな!」
「・・・・だってだってもしかしたら長いんでしょー・・?」
「・・・・それはわからんが・・」
「なっつんが足らなくなって死んじゃったらどうしよう・・」
「なわけあるか!!死ぬなんて言うな、怒るぞ!」
「うん・・」

しゅんと萎れたほのかがオレに擦り寄って来て慌てた。
「おい、離れろよ。オレ汗かいてるし・・」
「ねぇ、なっつん、ほのかのことぎゅうってして?」
「な、なんだよ、おまえ・・・おい、離せって!」
「いいから、ぎゅってして!!」
ちょっとばかしトレーニングしてたからオレは上半身裸なんだが・・?
そんなことはおかまいなしにほのかがオレに縋って来る。
そうっと頭を撫でて、腕を回したがどうにもこうにも・・・
「なっつん、何緊張してんの?」
「へ、いやその・・・」
「へんなの、もしかして女の子にこんなことしたことないの?!」
「・・・おまえな、何が言いたい?」
「まぁいいや。とにかくなっつんがしてくんないとダメなんだよ。」
「なんなんだよ、まったく・・」
オレはやけになってほのかを抱き込むように腕を引き寄せた。
ぴくりとそれに呼応するほのかの小さな身体が温かい。
恐る恐る力を込めてみるとほのかは腕の中で小さな鳥みたいに震えた。
「なっつん、早く帰ってきてね・・?」
「ああ。・・おまえがそんなに寂しがるなんて意外だな。」
「ふんだ、なっつんだってほのかに逢えなくてもちゃんと覚えててよ?」
「忘れるわけねぇだろ?!そんなに何年も出かけるわけじゃねーよ。」
「ほのかがなっつんに逢いたいってことを忘れないでねってこと。」
「!?・・・ああ、わかった。」
なんだか胸が熱くなってほのかのことを少し強く抱きしめた。
ほのかも嬉しそうにオレに回した腕に力を込める。
「なっつんの匂いも覚えておこうっと。」
「犬みたいなやつ。・・・なんだよ、また泣いてんのか?」
「泣いてないよーだ!べーっ!!」
「帰ったらまた泣くなよ?」
「・・・泣くもん、嬉しくて。」
オレは笑いを堪えながらそっと額に口付ける。
「さっきのおかえしだ。」
「うん、じゃあ、おかえしのおかえし。」
頬に感じる温かさに心の中まで包まれる。
しばらくその穏やかな温もりに二人で浸った。


逢いたくなったら思い出すことにする
この温もりとおまえの想い
なんだか忘れていた懐かしい気持がする
ああ、オレも逢いたかったのかもな
ずっとおまえに








思いつき突発です。くささ120%!?
ギャグにするつもりがアラ不思議!?(笑)
原作モードでまだ二人はできてませんので念のため。