待ちきれず・・ 



己の愚かさは只管に隠し
堪えきれずに胸に抱く
悪戯を罰せられたかのように
身体を硬くして処断を待つ
りんの瞳はただただ私を映すのみ
怖れもなく 恥じもなく
諦めもなく 期待もない
握り締めた小さな手が私を罰する
私を映す両の瞳が責め立てる
引き絞られた口元が糾弾する
何を子供のするようにと
拗ねるように甘えるようにと
りんはそれらを一切知らず
決して求めたりはせぬものを


「殺生丸さま」
「・・・」
「どうしたの?」
「・・・」
「何か辛いみたい・・」
「・・・」
「元気出して、殺生丸さま」
「・・・」
「りんでお役に立てるといいのに・・」
「・・・・」
「殺生丸さま」
「・・・・」


物言わぬ己に何を問うでもなく
りんは目を閉じ、私の胸に身体を預ける
染み溶け、身体に収められるものならとばかりに
私に小さな頭を摺り寄せて祈るような仕草
「りん・・?」
「あ、殺生丸さま!ちょっとだけ元気出ましたか?」
「・・・」
「呼んでたらお返事してくれた!りん、嬉しいです。」
「呼んだ?」
「うん、心の中で。」
「おまえが呼ぶならば・・」
「はい?」
「必ず・・・」
私は明確な言葉は指し添えなかった
だがりんは十分にわかったように頷いた
「殺生丸さま、ありがとう!」
喜色を湛えた顔で礼の述べる
今一度りんの頬を唇で掠め
首筋へと落とし己の胸元へ閉じ込めた
刹那であろうと今の我らは
愚かなただの番であろう
か弱き腕は私を戒めてくれる
掴み取りもぎ取ればよいものを
母よりも優しき腕でいとおしみ
私を胸の奥底から苦しめたるのだ
りん おまえは
りん わたしは

堪えきれず名を口にし
耐え切れず膚に触れ
誤魔化しきれぬ跡を残す
わかっているのだな
待っていてくれるのだな
りん おまえは・・

想いを坩堝と化し身体の奥底へ埋める
おまえにだけは 隠しきれまいが
それもいたしかたない
りん おまえとならば

苦しげにも健気に私に顔を向けると
またにこやかに微笑んでみせる


りん おまえは



愛しすぎる