紅 



空を行く鳥も
山に咲く花も
野を駆ける獣すら
命 命あるもの

短く 余りに儚く
刹那にも似た生
妖はそれを知らず
知らぬまま死んで行く
人もまた命
足掻き苦しんだとて
命を繋ぎ死んで行く
遠い先を知らぬまま

紅の命在るを知る
私のなかに
数多の命在るなかで
ただ一つ
血の色より鮮やかに
私の内にだけ在る
何人もそれを穢すことはできない
この私自身の手によってさえ

死では足りぬ
あれを穢すことは
地獄すら生温い報いを受けよ
あれは穢されない
私の内さえも清めた光り
紅い 紅い 命
私の命を削ろうとも
断じて穢されてはならない


「殺生丸さま」
声が聞こえる
紅く彩られる世界
「殺生丸さま」
眼差しが伝える喜び
紅く萌える視界
「殺生丸さま」
そこに居るだけで
傍に居るだけでよい
それだけで全てが
それだけが命を波打たせるのだ
紅く あたたかく 光り溢れて


穢されるな 
私の元へ戻れ
紅く私を染める血潮のまま
私だけが知る命
私を生かす唯一つの
ここへ戻れ
私の内へ 私のなかへ
その命は私だけの
  紅





原作の展開に憤りを感じて書いてしまいました。
殺生丸さまとりんを引き離しすことは許せませんよ!
とにかくりんが無事に戻ることを祈願してます。