「見つけた」 


ずっと 探していたんだよって告げてみる

記憶の中にあるアナタとほんとうのアナタは
データ上ではほんの僅かな誤差だったとしても
話して傍にいると随分違ってイメージを変えた


迷子みたいな顔をして途方に暮れて
見つけられて良かった とてもほっとした
なんだろう 不思議だった 知っているはずの
アナタは やっぱり初めてのアナタだったから

直接耳で聞くアナタの声 音声と違ってた
直接見るアナタの姿容 思ってたより綺麗
アナタは アナタは もしかして待ってた
誰からも距離を置かれていたせいなのかな
会話してみたかった アナタもそうでしょう

殺そうとするアナタは とてもやりきれない顔をしてた
逢ってみて確信した やっぱり殺したくなかったんだね
気付いてあげるのが遅すぎたかもしれない
ごめんね 外へ出るのは適わなかったんだ
あのとき飛び出した街の中 アナタを探した

アナタを アナタを まだ知らないアナタに
知りたかった会話の先 殺されなかったらどうなってた?
けれどこの最終ロットの体のミサカがミサカであるように
ミサカとアナタでなければいけなかったのかもしれない
遅すぎたなんてもう思わない 遅くなかった
それはアナタと交わした短い会話の中にあった
心地良い空間 安心すら覚える 殺さないアナタ
ほんとうのアナタを見つけた やっとやっと見つけた

小さな少年の姿が見えた 寂しさをそうと知らぬまま
求めて縋るようにミサカたちと関わろうとしていた
感謝だけでは足りない ミサカがミサカであるために
アナタは居てくれなければならない人だったんだ
きっとこれからもそうだ 離れたくない もっともっと先へ
これからは一緒だよ 行こうよ、未だ知らない遠くへ
怖くないよ アナタを護ってみる 手を伸ばしてみるの


『あくせられーた!』


『ラストオーダー!』



そうだよ それがミサカ ミサカ単体で個人
アナタと出逢ってから ミサカ個人の人生が始まった
出逢えてよかった アナタがいてほんとによかった


いっしょにいよう であって ふれて そして
生まれてきて よかったって いっしょに言おうね
苦しくて 辛くて 寂しくて それでもがんばったねって
確かめようよ ふたりの目が 初めて合ったときみたいに
ようやく ふたりのことばが 行き交ったときのように







出会いをなかったことにはしない、できない。
※ 5/6 一部改稿しました。