I do not wait.



固い蕾もいつか解ける。
空にはやがて陽が射す。
雪は雨へと変わる。
そしてお前は女になる。


こそこそと隠しているつもりかしらぬが
りんはもう子供ではないことくらい知っている。
匂いはあからさまで手に取るようだ。
何を教わったかしらぬが
まだ心は幼い。
漠然と女であることを覚る。
だがしかと教えるのは私の役目。
他の誰にも手出しはさせぬ。
お前は確かに知らずともよい。
知らぬ方が教え込める。
私以外は触れさせぬ。
私は待たない。待つつもりもない。
慎重に時を選ぶ。
誰にも口は挟ませない。
いつでもどこでもかまわない。
肝心なのはお前であること。
血の一滴も私のものだ。

ひたひたと足音が近づく。
一足ごとに薫るお前の身体。
此の世の理と等しく
お前は私が女にする。
私を覚えさせ、二度と忘れさせない。
私無しには生きられないと
心と身体に刻み込む。




喉が乾くというから潤してやった。
熱いというから汗を流させた。
辛いというから慣れるまで止めなかった。
身体が崩れるというからきつく抱いた。
りんの味は格別だった。
お前の匂いが私と混ざる。
快い。


・・・快い。



離せない。
欲が治まらぬ。



私は待たない。待つつもりなどない。
ではいつ治まる?
このままでは気がふれる。
次の夜までなど待てない。
とうてい待てない。
お前無しには生きられぬと
刻まれたのはこの私。
女と知ったのはこの私。
私にとってすでに女は他になく
血の一滴もお前のものに成り果てた。



私は待てない。何故待っていられる。
待っていてくれる。
いつもお前を待たせていた。
その分待たねばならぬのか。
何故待つ、待っていられる。
これほど想いが重なるならば
焦がれてくれ、同じだけ。
待ち続けてくれ、同じだけ。
どれだけ重ねてもただ恋しさは募りゆく。