瞳は閉じて




口付けの意味も知らなかった

ただ触れ合うのが嬉しくて泣いた

意外な熱さと烈しさの狭間

痛みすら意味をなさずに求められる

その流れに身を任せただひたすらに感じる

求められているのは真実かすべての嘘か

涙が滑り落ちる頭の先へ

のけぞるたびに喉は掠れた音を出す

私はどうしたかったのかも忘れ何者かもわからず

繋がっているのは現在なのか明日なのかと問う

答えはないと知っていて

あまりに当たり前すぎて気づかず

掴む指先から銀が零れる

「モウ、ナカナイデ」

「ココ二、イルカラ」

切なくて噛む唇を解くあなた

口付けは甘さを伝えあうのね

そうとも知らず舌を震わす

儚い夜が明けるころ

深い眠りに落ちるあなたを

この胸に抱き眠る一瞬が全て

愛しさは私のなかに溜まり

あなたの胸にまた還る

目覚めた朝はいつものあなた

私は眼を閉じいつもに帰る

身体が擦り切れるまで傍にいて

心が絞りきれるまで共に居る

「モウ、ハナレルコトハ デキナイ」