※警告※
この作品は多少大人向けの描写がございます。そういうのがお嫌いな方、もしくは
16歳未満の方はできればご遠慮ねがいます。今回飛ばしてお読みになっても
次回のお話でわかるようにいたしますので。精神的に大人だと自信のある方はどうぞ。



  初音  



その皇かな肌は薄紅に染まり
吐息は甘く切なく濡れる
初めて触れた肌の柔らかさと儚さ
気が遠くなるほどの悦びと疼き
いつまでも己の肌で確かめ揺らしたい
このまま波の果てへと共に越えて



りんは拒みはしなかった、しかし途惑いも隠せない
震えては縋り、堪えては漏れる声に頭は痺れてゆく
ひんやりとしていた白い肌が徐々に紅を浮かべて熱を帯びるのを
唇で確かめてゆき、身体の隅々まで解して濡らしてやる
ゆっくりと両足を開くと羞恥と畏れで小刻みに震えるのを憐れに想い
暖かい舌で慰めると縋る手指に力が籠もった
閉じた瞼から涙が滲み口付けるとゆっくりと瞳を開いた
その艶かしさと美しさに戦慄し、一層己の疼きを感じる
りんに己の熱を確かめさせると驚きと途惑いが更に大きくなる
指でその迎える先を示すと痛みを覚えて身体は跳ねた
奥へと指を進めると浮かぶ苦悶の表情に想いは逡巡する
ゆくか戻るか躊躇うと己の名を掠れてはいるが愛しい声で呼ぶ
強張る腰を引き寄せ「力を抜け」と命じた
りんは頷いたが怖れで手先はわななく
りんの小さな頭を己の肩に導き押し付けて口を開かせる
「わたしを噛んでいろ」と教えた
大人しくその震えている歯を押し付けたのを確かめると
りんの内へひと思いに己を捻じ込んだ
衝撃にりんは思いきり己の肩を噛んだ
そのわずかな痛みに罪悪感を少しばかり慰めたがあまり効果は無かった
りんから血の匂いが立ち昇り全身が粟立っていく
熱く締め上げられ食いちぎられそうな己は身動きできなかった
「力を抜け」と再び命じた
涙と汗にまみれ絶え絶えの喘ぎを吐き出すと
りんは噛み締めていた口とそこをほんの少し緩めた
また一息に引き戻すと悲鳴があがった
これ以上苦しめることが叶わず己は身を引いた
想いは遂げられず疼きは耐えないがりんを抱きしめ気を散らす
「すまぬ」と告げるとりんは「やめ・・」と小さく漏らしたので
「もう、よい。案ずるな」と言ってやる
「ちが・・う、やめないで・・・せっしょうまるさま・・・」
「りん?」驚いて顔を覗くと辛そうな瞳がゆらゆらと輝いていた
「りんは・・だいじょうぶだから・・・」その気遣いが辛かった
「無理をするな、よいのだ、りん」
「せっしょうまるさま・・・」涙を滲ませわたしに縋りつく
口付けて安心させてやるとりんはまた泣きながら「ごめんなさい・・・」と俯く
「謝るな。真から言う、わたしは満足だ。りん、愛している・・・」
りんは柔らかい唇をわたしに押し付けるようにくちづけて「好き、大好き」と擦り寄る
いつまでも腕のなかにいたいと言うりんを抱いたまま横たわっていると
すうと寝息をたててりんは眠りに落ちていった
そのとき胸に篭る想いがなんなのかわからず幸福という言葉を想い浮かべる
満ち足りて癒されてゆくこんな想いを知らぬ
こうして全て委ねて眠るおまえを抱く幸福を
荒れ狂っていた欲望はいまは静かに眠るおまえのまえで
またいつかと成りを潜めている
傍に在ってくれと願う 一瞬でも永く
このまま悠久に似た安らぎを胸にどこまでも
朝など来なくて良いとりんを包んで腹の底から願った