Try again



珍しく名前を呼ばれて素直に振り向いてあげたら
「trim」って言ってみろなんて変なこと言うの
私、発音はそう悪くないのよと思って言ってみたら
唇がぷるっと振るえる感覚に固まってしまった
「・・・単純なやつだな。」
呆れたような炎山の顔に気付いたけど声が出ない
・・・いま・え・・と・・くち・・・・
!!!!!えええええええええっ!?
「え・えんざ・ん!今な・なな・何したのよおーっ!!」
「ちょっと実験を。」
白々しい台詞に紅潮した顔が更に熱くなる
「お・おお・乙女の唇を何だと思ってるのっ!?」
「ちょっと触れたぐらいで大騒ぎすることもないだろう。」
「ちょっ?!場所が問題よっ!し・信じられない!」
「別に許してもらえなくても」
「私は構うのよ!どうしてくれるのよーっ!?」
肩を竦めて「どうしろと?」なんて。ああああ、もうっ!
「・・・やり直して。」
「・・は?」
「聞えなかったの?こんなファーストキスなんてありえないから・・」
「ちゃんとやり直してって言ったのよっ!」
「・・予想外だったな。」
あんまりぽかんとするからちょっといい気味だったわ
「この場合、相手は誰でも良いということなのか?」
顔がまた熱くなったけどどうしようもないから覚悟を決めたわ
「・・・・あんただから・・よ。」
何よ、その顔!なんってデリカシーのない男なのかしら
「・・・ふーん・・」
「な、何よ?!ふ、不服があるっていうの・・?!」
胸が締め付けられる、呼吸もおかしいわ・・もう私ダメかも
なんとか言ってよ、こんなに勇気を出してるっていうのに


上目遣いで俺を睨んだ目は涙が今にも溢れそうで
悪戯を言い訳にしたことを少々反省したが
さて、どうしたものかと不甲斐ないことに考え込んだ
だが、結局考えることは放棄した
ここはその勇気を称えてやるべきだろう
柄にもなく緊張を感じて苦笑が浮かんだ
ほんとうは、試すつもりじゃなかったんだ
つい無防備な笑顔を向けるから出来心ってやつさ
手を伸ばすとびくっと身体が跳ねて目が閉じられる
どうしてこう、何もかもが愛しいんだろうな


くらくらしてしてきてもう限界と思ってたら
真面目な顔になった炎山が手を伸ばした
反射的に目をつぶってしまって当たり前だけど何も見えない
余計に心もとない気がして脚まで震えだしてしまったわ
でも次の瞬間ふんわりと身体があったかくなったの
炎山の腕に優しく抱き寄せられたんだと判ると震えが治まっていく
あれ・・?なんだか・・雲の中に居るみたい・・
身体の力が抜けてしまってふにゃふにゃになっちゃった
そうっと目を開けたら炎山と目が合って心臓がまた跳ねる
二人の目蓋がまるで魔法みたいにまた降りてゆくの
今度は一瞬じゃなくて温かさまで感じられた
なんだ・・・すごく・・・いい気持ち・・
離れるのが寂しいとさえ感じてしまった
もしかしたらとても短い時間だったのかしら
きっと間の抜けた顔してたんだわ、ぼんやりしてた
おでこをつんとされて我に返ったの
「これでお許し願えたのかな?」
「!・・ま、まあ、そうね・・いいわ、許してあげる。」
「それは良かった。」
なんだか夢を見てたみたいな・・・でもまだ温かい・・
「物足りなそうだな。」
「えっ?!そんなことな・いわよ・・」
「まぁ、続きはまたいずれ・・」
「?続きって何?」
「さぁな。」
何よ、その嬉しそうな顔。憎らしいったらありゃしない
「私も”まぁ、いいわ。”今日は怒らないであげる。」
「単純だな、やっぱり。」
「なんですって!?」
単純だっていいじゃない きっと一生忘れないわ、このこと
とても幸せな気持ちだったこと あなたとの初めての・・
でも今夜は眠れそうもないわね・・・悔しいからべーってしたの
あなたは呆れて笑ったけど、泣きそうなこと気が付いてたのかしら
そんな子供にするみたいによしよしって撫でるんだから
それでも嬉しくて心の中で”大好き”って言ったら、微笑んでくれた
「俺も単純だな。」
「何よ、気持ち悪いわね、嬉しそうに。」
「きっとおまえと同じことを考えてた。」
「どうしてそんなことわかるの?!」
「さぁ、どうしてだろうな。」
ああ、でもなんとなくわかるわ・・・だってあなたも幸せそうだもの








炎やいって楽しい・・!(笑)
管理人この二人が可愛くてなりません。
どんどんいちゃつかせたいと思います。
いや〜、もう何度でも言う!「炎やい万歳」v