「篠笛の音」のしのさんから、もう一作いただいて作りました。
海辺の殺りんです。前半りんサイドをしのさんが、兄サイドを私が担当。
かなりのらぶらぶ度ですが、しのさんのおかげで穏やかなムードにv
素敵なSSをありがとうございました〜!(^^)





「煌き」




潮の香り。
漣の音。
木漏れ日の下、少女は眠っていた。
初夏の前の涼しげな風を受けて、
心地良さそうに寝返りをうつ。
真っ青な空には陽の輝き。
真っ青な海は、少女を起こさぬよう、
静かに、何も語らない。
それは少女の夢の如く。
波に煌くは己でありたい。
煌き映すは温かな妖−ひと−。

・・・綺麗だね、殺生丸さま

少女は夢の中で呟いた。

・・・ねえ、殺生丸さま

妖の袖を掴んで見れば、
海の如く穏やかな眼差し。
その金色の瞳に、
煌く波が、映されていた。
温かい・・・そう思った。
何故だか分からないけど。
嬉しい・・・そう思って目が覚めた。
気がつくとそこには、
その妖が、いてくれた。

(〜by しのさん)



波は深穏なり。
香も音も又。
少女の眠りに似て静嘉だ。
涼風は木陰を通り抜け、
寝返る少女を撫で行く。
青海の弾く陽の光り。
青海の上に幽しき様で在る。
黙した海に浮かぶ綺羅。
私に注ぐ少女の笑顔の如く。
全ての煌きを私の元へ集めよ。
煌き出るは温かな少女−りん−。


少女の声が耳を擽る。

夢の中で呼んでいるのか・・・

美しいと伝える甘き声音。


りんが私を見上げている。
夢の中も同じ綺羅の瞳。
黒曜の石よりもなお深く、
煌く光を私に写さんとす。
温かい・・・いつも思う。
知らず裡を満たしゆく。
少女がゆっくりと目覚め、瞳に光宿す。

気付くとそこに、
その笑顔が、在る。

(〜by まりん)